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いつものそれは必然だった
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語り:陸上部三年生 渡辺朔夜
「秋月エロっ！もっと見たい脚線美！」
「ふざけんな井上！見るんじゃねぇ！」
「緒方ずるいぞ！」
「ずるくねぇ！秋月は俺のもんだ！」
「ちょっと緒方さん！やめてください！」
いつもの騒ぎが始まった。
秋月がエロいと井上が騒ぎ出し、応戦した緒方が秋月に抱きつき、やめてくださいと秋月が叫ぶ。
よくもまぁ飽きないな…と思わず感心する程に、同じ場所で同じ様な時間に同じ様な事で同じ様に騒いでる。
「毎日の事ながら本当にうるさい…これ秋月の彼氏が緒方じゃなかったら、また違う展開になってるのかな…」
そう呟いた瀬川の表情は面倒臭さ全開だ。
「山梨止めてよね…」
「だからなんで俺なんだよ…」
「なぁ田沼」
「なんだ渡辺」
「もしお前が秋月の彼氏だったとして、井上がああやって騒ぎ出したらどう対応する？」
「んーーー…？そうだなぁ…」
《検証パターン1 もし、田沼さんが秋月の彼氏だったなら》
「秋月エロっ！もっと見たい脚線美！」
「おいこら井上！見るんじゃねぇ！」
「見たい！エロい！」
「秋月こっち来い！」
「はぁ…」
「見せて見せて！ぬっちょどいて！」
「うるっせぇよ！見るなって言ってるだろうが！」
「ちょっと田沼さん！やめてください！」
《結果》
「……初っ端から緒方と同じパターンになりそうだ…」
「まぁ田沼だしな…」
「おいこら渡辺！どういう意味だ！」
「三年の中じゃ田沼が一番あの二人にノリが近いだろ…」
「んな事ねぇ！じゃあ渡辺が秋月の彼氏だったらどうすんだよ！」
「え？そうだな…」
《検証パターン2 もし、渡辺さんが秋月の彼氏だったなら》
「秋月エロっ！もっと見たい脚線美！」
「おい井上。見るんじゃない」
「見たい！エロい！」
「見るな」
「エロいなぁ…秋月エロい…」
「秋月、こっちに来い」
「はぁ…」
「ここで着替えろ。俺が盾になっててやる」
「ずるいぞ渡辺！」
「ずるいも何も秋月は俺のものだ」
「たまにはいいじゃん！見たい見たい！」
「うるさい！俺のだって言ってるだろ！」
「ちょっと渡辺さん！やめてください！」
《結果》
「……俺が秋月の彼氏でも同じ様な騒ぎになりそうだな…」
「渡辺もかよ…しっかりしろよ…」
「そういう山梨はどうするんだ」
「は？………そうだな…」
《検証パターン3 もし、山梨さんが秋月の彼氏だったなら》
「秋月エロっ！もっと見たい脚線美！」
「井上見んな」
「見たい！エロい！」
「秋月こっち来い」
「はぁ…」
「ずるいぞ山っち！」
「あ？ずるいもなにも秋月は俺のもんだ」
「見せて！見せてー！」
「……おい井上…いい加減にしとけよ…？」
「ちょっとだけならいいじゃん！秋月！サービスして！」
「……サービスってなんですか」
「ちょっとシャツとか咥えて！」
「……なぜそんな事を…」
「秋月、バカの言う事は気にするな」
「独り占めするのか？！山っちのえっち！山っちえっちっち！」
「うるっせぇな！秋月は俺のもんだって言ってるだろうが！」
「ちょっと山梨さん！やめてください！」
《結果》
「……頑張ってはみたけど同じ事になるかもしんねぇ…」
「えぇぇ…？山梨まで…？しっかりしてよね…」
「じゃあ瀬川は？どうする？」
「えっ…？うーーんそうだなぁ…」
《検証パターン4 もし、瀬川さんが秋月の彼氏だったなら》
「秋月エロっ！もっと見たい脚線美！」
「井上、見ないで」
「見たい！エロい！」
「秋月おいで。バカが伝染る」
「はぁ…」
「瀬川ずるいぞ！」
「うるさい井上。秋月、ここで着替えな」
「見たい見たーい！」
「見るな」
「ちょっとだけ！ちょっとだけでいいから！」
「見るな井上」
「秋月！見せて！」
「……見るな…って言ってるだろうが！！」
「ちょっと瀬川さん！やめてください！」
「秋月は俺のだ！！」
「今日の瀬川デンジャラス！」
《結果》
「……俺も頑張ったけど残念ながら同じ事になるかも…」
「おい…お前が言い出したんじゃねぇか…」
「むしろ瀬川が一番キレる気がする…」
「……これさ、井上が彼氏だったらどうなると思う…？」
《検証パターン5 もし、井上さんが秋月の彼氏だったなら》
「秋月！」
「なんですか井上さん」
「こっ…！こんな所で着替えちゃダメだ！」
「……え、じゃあどこで着替えれば…」
「なんか！どっか！見えないとこにして！」
「はぁ…よく分からないですけどここ部室なので着替えますね」
「ダメだっ！刺激が強い！」
「……なに言ってるんですか」
「脱ぐなぁぁぁ…！あぁぁぁ…！脚線美ぃぃぃ…！」
《結果》
「うるさいだけだね」
《全5パターン検証における総合結果》
「「「「……井上が騒ぐのが悪い…あと秋月の色気…」」」」
緒方に同情した秋の午後の事だった。
おしまい
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