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忘却と……にしおりをはさみました!
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忘却と……
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「悠真! 一体、今までどこに行ってたの!? 母さんがどんなに心配したか! お前に何かあったらと思うと…――!」
そう言って取り乱したように話しかけてきた。母は、どうやら俺を弟と思い込んでいた。いや、俺を悠真だと思って話しかけてきた。さすがに動揺すると抱きついてきた母を慌てて引き離した。そして、自分は弟じゃないと答えた。
「母さんしっかりしてよ……! 俺だ、克哉だ! 悠真なんかじゃない…――!」
そう言って答えると母は我に返った。その時の表情は愕然としていた。落胆と絶望が入り雑じった顔は今までみたこともない。母さんは俺だと気がつくと、全身を震わせて謝ってきた。
「ご、ごめんなさいね、克哉……。母さんったら間違えちゃったわ……。母さんてっきり、てっきりね。悠真が戻って来たんじゃないかって…――!」
そう言って話す母は全身を震わせていた。そして、口元を震わせて絶望的な表情だった。俺は母を落ち着かせようと椅子に座らせた。そして、キッチンでコップに水を注ぐとそれを持って母に手渡した。
「落ち着いて母さん。ほら、水を飲んで……!」
「あ、ありがと……!」
そう言って母は俺が手渡した水を飲もうとした。だが口元が震えて上手く飲めない様子だった。そして、次の瞬間、持っていたコップを床に落として泣き叫んだ。
「違う、違う! こんなの違う……! あたしの悠真は何処にいっちゃったの!? 一体、何処にいっちゃったのよ…――!」
「か、母さん……!?」
そう言って泣き叫ぶ母の姿は今までみたことがない。酷く興奮して泣き喚いた。もう見ているだけでも、辛くなった。俺は目の前で取り乱した母を、咄嗟に抱き締めようとした。すると母さんは俺の腕を振り払った。
「触らないで!」
「母さん落ち着いて……!」
「私の悠真は何処にいっちゃったのよ! なんで、どうして! 何処にいるの…――!?」
母親は目の前で精神不安定に陥った。そして、仕切りに悠真の名前を呼んでいた。リビングが騒がしくなると2階から父親が慌てて降りてきた。
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