アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
-
相変わらず今日も走ってばかり
皆無は辛そうに呼吸をしていた
「死にたいか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
いつも同じ台詞
聞き飽きた
「よし、今日から跳ばせてやる」
「はい」
「でも、お前達の事だ・・・・・これぐらいなら軽いだろ?」
バーの高さは軽く跳べる
「跳んでみろ」
「はい」
皆無はまだ呼吸が荒い
だから僕が先に跳ぶ事になった
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ほらね、楽勝
「皆無跳べ」
「はい」
当然皆無も軽く飛び越えた
「なかなかやるな・・・・・と言いたいところだが、お前達は誰に教わったんだ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「皆無、答えろ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃ、俺が答えてやる・・・・翔だな?」
どうして・・・・?
「お前達のフォームは翔と同じだ、あいつは独特のフォームだからな」
独特?
「でも、お前達がその跳び方を続けたら自滅するぞ」
「どうしてですか?」
「どうして?」
「はい」
「それは俺の台詞だ、お前達の体を作りあげ漸く一から教え込もうとしたのに台無しにしやがって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「翔の跳び方はみんなを惹き付ける、だから自然と目に焼きついた翔のフォームで跳んでしまう・・・・・・だがお前達と翔では生まれ持った才能が違うんだ」
「跳べます、もっと高く」
「僕もです」
「では、バーを1センチずつ上げて跳べ」
「はい」
1センチとかイライラするけど仕方が無い
言われた通りに1センチずつバーの高さを上げて跳んだ
「くっ・・・!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうした?まだ高校新には程遠いぞ」
どうして?
足が・・・・・動かない
「皆無・・・・・も?」
「うん、足が・・・・・・」
やはり皆無も同じだった
「跳べ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうした?跳べるんだろ?」
「はい」
「待て、皆無・・・・お前が跳べ」
「はい」
どうして?
「大丈夫、跳べるから」
「皆無・・・・・」
そして・・・・・・・・・・・・・・・
「ううっ・・・・・!」
「皆無!」
跳んだ瞬間、皆無がその場に疼くまり足を押さえていた
「馬鹿が・・・・こいつはもう跳べないぞ」
「えっ?」
「足の筋が切れている」
「そんな・・・・・・わかっていて皆無を・・・・」
「要は勝てればいい・・・・一人消えても構わないだろ」
「病院へ」
「まだ部活の時間は終わっていない」
「だけど!」
「お前はグランドを50周走れ、終わったら帰ってもいい」
「嫌です」
「皆無を病院に連れて行きたいんだろ?」
「早くしないと歩けなくなるぞ」
「皆無・・・・・・」
「僕は・・・・平気・・・・ううっ」
おかしいよ
どうして?
「早くしろ!」
「うわぁーーーー!!」
「皆無!!」
酷い・・・・・
痛めた足を蹴るなんて
「次は踏みつけるぞ」
「皆無、待ってて」
痛む足で必死に走った
限界なんてとっくに来ていた
でも、早くしないと皆無の足は・・・・・
苦しい・・・・・・辛い・・・・・・・ここまで頑張る理由があるの?
僕達は、ただ・・・・鳥になりたかっただけなのに
「ああっーーー!!」
皆無の悲鳴が突き刺さる
もう・・・・いやだっ!
「皆無!」
「ペースを落とすな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
クソッ!
本当に皆無の足を潰すつもりなの?
肩で呼吸をしながら戻り、皆無を踏んでいる足を両手でどけた
「止めてください・・・・・・帰ります」
「・・・・・・・・・・・・・・・勝ちたいのなら二度と翔には関わるな」
「・・・・・・・・・・・・・・・皆無、掴まって」
「ううっ・・・・くっ・・・・・・」
ダメだ
立ち上がれないなんて
「少し我慢してね」
「・・・・・ううっ」
皆無を抱き上げ、急いで病院へ向かった
もう辞めてやる
こんな思いをするぐらいなら部活なんて辞めてやる
もともと暇潰しで入っただけだし、大会なんて・・・・・・どうでもいい
ハイジャンなんて・・・・・・もう・・・・・・・
「こんなに蹴られて・・・・・皆無、辛かったね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そして皆無は二度と鳥になる事も、風になる事も出来なくなった
あいつのせいだ・・・・・全部あいつの・・・・・・・
殺してやる
皆無の足を奪ったあいつを・・・・・・殺す
麻酔で眠っている皆無を病室に残し、怒りで震える体のまま廊下を歩いた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
87 / 307