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歌の2。かごの中の鬼も狸もにしおりをはさみました!
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歌の2。かごの中の鬼も狸も
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かごの中の狸も鬼も
「この井戸は何?」
鳥井村でかくれんぼをしていたときに見つけた井戸
「ああ。鬼洗いの井戸だ。あまり近づくな」
役所の人間が説明する
「狸と言えど引きずり込まれる」
重いコンクリートの蓋で塞がれた井戸
微かに聞こえた声
「囲え、囲い女…」
狸も囲われた
「今日はここに泊まれ」
母親に電話をかけた父親
「母さんには伝えたから」
「え…やだ怖い!」
あの井戸があるここには泊まりたくはない
「じゃあ俺と一緒に寝ようか」
夏輝が誘う
「うん」
普段は怖いが頼りになる兄のような存在
「夏兄と一緒に寝る!」
一緒の布団に入り
「ゆっくりと眠れ」
きれいな顔が微笑む
「ん…」
うとうとと眠る誠史にキスを落とす
「可愛い誠史」
夏輝は暫くキスをし
頭を撫でていたが
夏輝もまた眠りについた
深夜
「ぎしっ!ぎひっ!ぎひひひ!」
眠っていた誠史の耳に入ってきた笑い声
「ひいっ!」
涎を流し
笑う男
「私はお前が気に入った!」
男は誠史の頭を撫でる
「可愛い狸。次の花婿はお前だ。好きな相手を花嫁に迎え入れるといい」
「ぼ…僕…」
「居るのだろう?好きな相手」
「いいの?」
「良いに決まっている。お前は…お前達は可愛い…だ」
「誰だ!」
急に部屋が明るくなり
眩しさに目を細める
「え…先生?」
先程の男は鬼梨教諭で
「あれ…ここは…?」
首を傾げていた
「夢遊病ですか?」
駆けつけた村の男が尋ねるも
「いえ。今までこんなことはありません」
鬼梨も困惑した様子で
「何で…こんな…」
男達は顔を見合せ
「先生を呼ぶか」
医師を呼んだ
翌朝
「先生が休みだって」
「じゃあ自習かな?」
鬼梨は大事をとって休みとなった
「誠史は休まなくて良かったのか?」
剛志が心配そうに見るも
「大丈夫!お祭りに参加したいし」
もうすぐ始まる祭りを心待にしていた
「そっか。無理すんなよ」
「うん。それで今年の結婚式なんだけど…」
「今年の花婿と花嫁をどうしようか?」
集会所で大人が頭をひねっていた
「もう結婚していない大人はいないしな」
「年齢的には夏輝とうちの宗巳しかいないからな」
「しかし未来の宮司と名主はいざというときのために結婚は出来ないだろう?」
「ではちびたちか」
近くでゲームをして遊んでいる剛志達をみる
「しかしまだ小学生だ」
子供好きの重蔵が途中から来た誠史の頭を撫でる
「初夜の儀を省略すればいいでしょう?」
「しかし…お前達はどうだ?一生付き合わないといけなくなる」
「あの…重蔵さん」
誠史が顔を上げる
「どうした?」
「僕…好きな人がいます」
「何?誠史」
「うん」
鬼島を鳥井村に呼び出し
儀式の説明をする
「あいつ大丈夫かな?」
「しきたりは全て言わなくていいとは伝えてある」
監視カメラで様子を見ながら重蔵は見守る
「滅多に欲しいものを言わないあの子の願いだ。叶えてやりたい」
「親父は誠史に甘いな」
大人しい誠史は重蔵の特にお気に入りで
「ナツも和臣より可愛がっているしな」
宗巳が苦笑しながら成り行きを見守る
「あの…今度のお祭り、僕と一緒に結婚ごっこをしてくれる?」
「なにそれ!」
顔面を真っ赤に染めた誠史に
鬼島は笑う
「何でそんなのに出なくちゃいけないわけ?」
「これは大事な行事で!僕は鬼島君と一緒に出たくて!参加したら重蔵さんが欲しいものを買ってくれるって!」
「馬鹿じゃないの?」
鼻で笑う
「重蔵っておじさんに頼まれたの?」
「そうじゃなくて!僕…君の事!」
「キモいよお前」
冷たい眼差しを向ける
「父さんも言ってた。この村は異常でお前らも異常だって!」
「鬼島君…」
誠史が震える
「こんな時代遅れの村の風習なんて馬鹿馬鹿しいってさ!だから…」
いきなり自分の腕を掴んできた誠史にびくりと震える
「駄目だよ…そんなことを言っては…」
先程まで俯き
涙まで浮かばせていた誠史の豹変
「大人の言うことを聞けない悪い子は井戸に落とされる」
あの巫女の様に…
「離せよ!」
「…っ!ごめん…」
「お前おかしいよ!」
誠史の腕から逃れる
「キモい!」
「ごめん…でも言うことを聞かないと!」
「学校で皆に言ってやる!お前に襲われたって!このホモ野郎!」
鬼島は走って逃げていき
「誠史!」
父の命を受けた宗巳が駆け寄った
「鬼島…と言ったな…あの小僧の名は」
父親は愛想の良い男であったが
「そんな風に思っていたか…」
杖を握りしめ
「その前に…もしもしみったん?じゅーしーでちゅよv」
妻に電話をかけた
「まさちゃん、お友達とケンカをしたんですって?」
犬飼市の重蔵の屋敷
重蔵の妻が誠史の好物を作って待っていた
「あの…」
「私は何も聞きません。鳥井村の出来事でしょう?」
ニコニコと笑いながら席に促す
「空腹だと気分が落ち込むからな」
「飯くってぐっすりと眠れば元気になるだろ。祭りの主役は別に考える」
「ごめんなさい…」
泣きそうな誠史に
「宗巳!せいちゃんをいじめちゃダメでしょう!」
母親に叱られた
「いじめてないって…」
翌日
鬼島が言い振らしているだろうと
足取りも重く教室に向かうと
「お前いい加減にしろよ!」
鬼島がクラスメートに囲まれていた
「どうしたの?」
廊下に出ていた女子に尋ねる
「あ、誠史。おはよう」
「おはよう芳美(よしみ)」
近くにいたクラスメートの芳美が声をかける
「何かさ。鬼島君が鳥井村の話を勝手にしたらしくて男子が怒ってるの」
「あ、そっか!」
鳥井村での行事を他人の前で話してはいけない
祭りは秘密裏に行われる物でなければいけない
その掟を鬼島は破ったのだ
「誠史!」
幸一が誠史に気付き手招きする
「幸一、鬼島君は」
「ちゃんと叱っておいたから」
そっけ無く伝え
「残念だったな」
肩を叩いた
「何だよお前らもキモい!最悪!」
捨てぜりふを吐き
誠史を無視し
「どうした?授業を始めるぞ!」
鬼梨が来た事により
皆が席に座った
鳥井村
「俺達が結婚します」
「え?待って!」
次の集会で剛志と幸一が結婚すると言い出した
「剛志、お前はいいのか?」
「うん。じゃんけんで負けたし」
「大切なことをじゃんけんで決めるな…まあ成人して気に入った相手が現れたら改めて結婚すれば良いか」
とにかく行事を行いたい大人は納得したが
「僕が鬼島君と結婚するから!」
誠史は食い下がった
「あのが…あの子は無理だ」
重蔵が誠史を諭す
「あの親子には罰を与えないといけないな」
宮司が重蔵に進言する
「それならもう友人に頼んでいる。誠史を傷付け、この村の誇りを穢した罪は重い!」
怒りを顕にする重蔵に
「待って!もう一度説得しますから!」
必死にすがり付く誠史に
「お前は優しいな」
重蔵が褒美とばかりに飴を与える
「この話は以上だ。祭りの準備に取りかかるぞ」
「はい」
村人達は仕事に戻り
誠史は夏輝と共に神社に向かった
「ナツ兄、どうにかならないかな?」
宮司の手伝いもしている夏輝に頼むも
「無理だ。諦めろ」
夏輝は冷たく言いはなつ
「でも!」
「そんなに気に入っていたのか?」
「うん。鬼島君が好き。本気だよ。剛志と幸一がお互いを好きなのと同じくらい好き」
誠史の告白に
「分かった」
「親父」
夏輝の父である宮司が電話をかける
「もしもし重蔵さんですか?彼を貸して貰えますか?」
「私としては早すぎると思うんだが…」
「誠史が納得出来る方法がこれしかありませんから」
重蔵の介助を行うヘルパーの青年も
「子供の前でするのですか?」
眉をしかめる
「鬼山(きやま)君、済まないが協力してくれないか。この子のためだ」
「はあ…」
渋い顔を見せ
「後から警察に連行されることはないでしょうね?」
「私がここの秩序だ」
「ならいんですが」
衣服を脱ぎ捨て
キスマークだらけの裸を見せる
「ちゃんと見てろよエロガキ♪」
普段は剛志と兄弟の様に悪ふざけを見せる鬼山が笑う
囲った鬼はこうして囲え
続く
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