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高3夏の憂鬱にしおりをはさみました!
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高3夏の憂鬱
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撮影が終わって、着替えてスタジオを後にする頃にはもう夕方だった。
2人で松井にお礼を言ったけど、その3倍くらい周りからも松井からもお礼を言われた。
「いやぁ貴重な体験だったねー」
ヘラっと笑うルリに頷く。
本当にそう思う。
大人になると、あんなにも謝っても許してもらえないこととか、それでも逃げれないこととか、期待を背負わないといけないこととかあるのだと、初めてみた職場の姿に色々と考えさせられた。
写真を撮られることは苦手だったし、うまく映った自信はなかったけど、やっぱりプロに撮られたからか、画面に映った俺はまるで俺じゃない誰かかと錯覚するくらいの出来だったし、ルリも天使のようだった。
「俺...」
「純ちゃん」
不意に口を開いたら、ルリと重なった。
「あ、ごめん!なに?」
「いや、なんでもない。ルリはなんて言いかけた?」
「オレこそ大した内容じゃないからー。どうしたの純ちゃん」
らしくもなく2人で焦る。
ルリの笑顔もなんとなくぎこちない。
歩いてた足を止めると、ルリがキョトンと振り返る。
意を決して口を開いたら。
「俺、なりたい職業見つかったかも」
かも、じゃない。見つけた。
そう確信してるのに照れ臭くて余計な言葉を付け足してしまう。
ルリはエメラルドグリーンの瞳をキラキラと輝かせた。
「本当!?なになに!?」
「えっと...」
小さい声で答えた俺の言葉に、ルリはまた目を見開いて少し驚いてそれから、いいじゃん!と飛び跳ねて喜んでくれた。
それから、ルリも今日なりたい職業ができたとこっそり教えてくれた。
あんなに将来のことを考えると憂鬱だったのに、わくわくする。
ルリと別れて小走りで家に向かう。
ドアを開けると、雅人が余裕のない顔で出迎えてくれた。
「純也、よかった帰ってきてくれて...あの、昨日はごめ...」
「雅人!俺、なりたい職業見つかった!どこの学校進めばいいか教えて!」
俺の言葉に雅人は、えっ、と面を食らってる。
でもすぐにいつもの優しい笑顔で俺の頭を撫でてくれた。
「純也のことならなんでも応援するよ。聞かせて」
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