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問題2にしおりをはさみました!
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問題2
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母さんに早々に申し込みを送られた後、浮上したもう1つの問題。
「…名前、どうすんの?」
“京谷 椛”が男として通うのが可笑しいと学校を変えたのなら、名前はどうなる?
同姓同名の人間なんて、そうそういない。
と、いうか、ほぼいないだろう。
なら、変えるしか無い。
幸いにも、入学時の細かい申し込みの書類等は、試験問題を解いて送り、合格ならその時に、ということだから、名前を変えることは出来る。
「ああ、そっか…」
「んー、何が良いかなぁ?」
「やっぱり兄弟っぽくしようぜ!」
榎兄達は思い思いに、それぞれ考え始めた。
その結果は…
『奏』『悠』『透』『光貴』等々。
「いや、結果、兄弟っぽさ皆無」
「うっ…」
「やっぱり?」
「あはは~」
“兄弟っぽく”を言っていた楸は言葉に詰まり、榎兄は困ったように言い、椿は暢気に笑った。
「で、名前どうするの?良いのあった?」
黙って話を聞いていた櫻が俺に問う。
「ん~…イマイチ」
「えー!?」
ショックを受けたみたいに崩れ落ちる楸をさらっと無視して、櫻が言った。
「そうね…じゃあ、柊はどう?」
「柊?」
「ええ。だって、椿も榎も楸も、皆、木へんに季節が入ってるじゃない?あと残ってるのは冬だけだし。“兄弟っぽい”んじゃないかしら?」
頬に手を添え、櫻はにっこりと微笑んだ。
「…櫻、天才」
確かに。それは思い付かなかった。
「流石、姉さんだね」
「うんうん、良いと思う~」
結局、名前は柊と書いて“シュウ”と呼ぶことにした。
じゃあ、今度は…
「あとは名字ね」
「名字まで変えるの!?」
「そりゃそうでしょ。何のために名前変えるのよ」
先程まで落ち込んでいた癖に、いきなり声を上げた楸を櫻がばっさり斬った。
「ええ…名字変えたら兄弟っぽくない…」
「でも、本来うちに“柊”っていう弟はいないんだから、しょうがないでしょ?
文句言わないの!」
「えー…」
楸が項垂れるから仕方なく、とんとん、とその背中を叩く。そして顔を上げた楸に言った。
「名前変わっても、俺が楸の弟なのは変わんないでしょ。…それじゃ、ダメなの」
「…っ、椛ぃ!」
「…今は“柊”だけど」
抱きついてきた楸を受け止めつつ、訂正しているその後ろで、
「何で扱いがあんな上手いのかしら」
「…それは、姉さんがいるからじゃないかな…」
「何か言った?」
「ううん、何でも無いよ」
櫻と榎兄はそんなやり取りをしていた。
結局、名字は“早瀬”に決まった。
理由は特に無し。
強いて言えば、「何となく」。
こうして、“僕”は「早瀬 柊」になった。
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