アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
沢井流が来たよ-1にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
沢井流が来たよ-1
-
※まだ付き合ってません。二人が付き合い出すちょっと前のお話です。
「今度、向かいの客間にお客さんが来るのですよ」
「へ~」
今日も毎日の日課である清掃をするため望夢の部屋を訪れていた。
わざわざ話すまでもないとも思ったけど、望夢の居室は私の隣だから知っておいた方がいいだろう。
第5寮は綺麗な寮なので、少人数の来客があった時は第5寮の客間(望夢と私の向かい2部屋)に泊まってもらうのが慣例になっている。
「誰が来るの? 女の子?」
嬉々とした表情を見せる望夢を目の当たりにして、心の底に刺々した塊が落ちた。
窓の方に目を逸らすと磨きあげたガラスに映る自分の顔が般若の面に見えた。
「可愛い子かな~」
毬栗のような棘は心の底を転がり回って傷跡を残してゆく。
望夢は男子なんだから女の子を好きになるのが当たり前なのに。
嫉妬の炎を宿してしまう自分がどうしようもなく浅ましく思えてならない。
「だったらどうしますか?」
「夜通し飲み会、かな」
「ここは男子寮ですよ」
「だったねー」
はぁ。
どうして貴方はそんなに……。
初めて目にした貴方に一瞬で心を奪われた。
ずっと想いを秘めていた。
なのに――。
直接触れる勇気が持てなくて「罰則」と称して貴方の身体を苛める事しか出来ない。
本当はその柔らかい肌にそっと触れて、フワッとした髪を優しく撫でて……。
崩れやすい貝殻細工を扱うように丁寧に愛撫したい。
そして貴方も、私の肌に手を伸ばしてくれたらいいのに。
好きだと言えたら。
だけど。
どうしても伝えることなど出来そうにない。
寮生に手を出してこの職を追われる事になったら貴方の側に居られなくなってしまうのだから。
いよいよ第5寮でお客さんをお迎えする日がやって来た。
来てくれるのはうちの大学で開かれる武道の体験会のために派遣された沢井流のメンバー4名。
空手の演武を披露しに来てくれて、今日はリハーサルで明日本番が行われる。
今日の夜と明日の朝は第5寮の食堂で食事のもてなしをするため、別途で予算が組まれた。
アスリートには何を出したらいいのか知識が薄いので、同じく運動をしているユタカにも協力して貰ってメニューを考えた。
ユタカ考案のメニューは大好評で、夕食の時間は和やかに過ぎていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 111