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危ない第2寮-2にしおりをはさみました!
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危ない第2寮-2
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「何故にお前がここに居る」
只でさえ苛々していたところに最大級の厄介事が転がり込んできて、寮内でのマイルールになっていた敬語を何処かに忘れてきてしまった。
「晩里がここで寮長やってるって聞いて遊びに来ちゃった~」
誰だ、他人の個人情報をよくもまぁぺらぺらと。
「晩里のニオイがする」
部屋の入り口から首を突っ込んで中の匂いをふんふんすんすんと嗅いだキリは頬を包み込むように掌を添えた。
男がやっても可愛くなんかない筈のポーズ。
不覚にも心の奥の奥のずーっと奥の方で一瞬だけ可愛いと感じてしまった。
認めたくないがキリは顔だけはいい。
何処にでもいる平均値の俺とは比べようがない程の美貌を持っている。
「やんっ。あんまり見ちゃ恥ずかしいんだからっ」
俺の視線が釘付けになっているのに気付いたのかキリは掌で包んだ頬を染めて体をくねらせる。
やめろ、こんな公共の場で。
誤解を招くだろう。
これ以上廊下で騒がれては迷惑だからとりあえず中に入れと促した。
部屋の中に入ろうとしたキリが俺の横を通るとアルコールの匂いが鼻に届いた。
「お前、飲んで来たな」
「ちょっとだけよぉ」
後ろ手に持っているビニール袋からカチャカチャと瓶の触れ合う音がする。
学生時代には何とかいうバーでバイトをしていると言ったか、水のように酒を飲む男だった。
スイスイと小気味良く飲んでいるが、ある一定量に達すると突然パタンと眠ってしまう。
それを目の当たりにした誰かが椿の花が地に墜ちるようだと表現したが、俺はツルンとした椿よりフワッとした牡丹の方がしっくり来るように思えた。
「ね~晩里ぃ~」
「はいはいはい」
この男の扱い方は心得ている。
とにかく酔わせて眠らせてしまえば静かになるのだ。
「ほら、グラス寄越せ」
グラスが空になるそばから中身が何かを見ることもなく新しい瓶を開けて注いでやると目の前の男は小気味良く一気にそれを煽った。
飲め。もっと飲め。
そして早く明日になれ。
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