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夏の章三 夏ぐれにしおりをはさみました!
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夏の章三 夏ぐれ
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普通に廊下を歩く音で、再び可児がトイレに近づくのが分かった。
「遊命、開けんで」
ノックと共に、可児が声をかける。
「やだ」
今更ながら、羞恥心も湧いてきた。
「バスタオルと着るもん持ってきてん」
「……」
「遊命、びしょびしょやろ?」
「……見るなよ」
「見ぃひんよ。ばばなんか興味ないねん」
「はぁ? 何、訳分かんないこと言ってんだよ。俺だって、ばばぁなんか興味ないよ」
「? 取りあえず脱いで、こっちと替えてや」
「分かったよ」
お互いに、会話が噛み合っていないと、感じながらも追求を避けた。
遊命は、濡れたTシャツを脱ぎ、そっと開けたドアの隙間から、可児が持ってきた衣服を奪い取るようにして交換した。
「遊命、出しきったらビデで洗っ……」
可児の言葉が、途中で切れた。
玄関から音がした。
可児が思い描いたのは、母親の帰還だった。
何事も無かったように迎えなくては、と可児は咄嗟に考えた。
心配をかけるのも嫌だし、小言を言われるのも面倒だった。
「え……何で?」
玄関先で見た人物に、可児の思考が一瞬停止した。
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