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春、お見舞いにしおりをはさみました!
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春、お見舞い
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瀬戸は何の迷いもなく祐樹の真横に腰を下ろした。
ソファに胡座をかいて座っていた祐樹の左膝が当たるか当たらないかくらいの距離。…近い。
自分を落ち着けようとコップの水を飲んだが、盛大に噎せてしまった。
「げほっ、げほげほっ!」
「わ、大丈夫?」
瀬戸の心配気な顔が更に近づいたような気がした。
いや、実際に近づいてきた。
…顔ではなく、手が。
げほげほと噎せ続ける祐樹の背中に、瀬戸の拳が軽く当たった。
ポンポンとやさしく叩かれる。
…そう思ったし、瀬戸もそのつもりだったのだろう。
だが、その手はすぐに祐樹の体から引き離された。ばしっ、という音が遅れて耳に入ってきた。
ーーー祐樹が瀬戸の手をはたいた音が。
瀬戸がポカンと祐樹を見つめている。
祐樹も今しがた自分がしたことがよく分からず、しばらく口をきくことが出来ないでいた。
沈黙を破ったのは瀬戸だった。
「ごめん、嫌だったかな…。苦しそうだったからつい、背中を叩こうと思って……」
いや、大丈夫。そう言いたいのに、唇が震えて言葉がうまく紡げない。
明らかに様子のおかしい祐樹に、瀬戸が再び手を伸ばした。
「…大丈夫?」
その瞬間、何が起こったのか祐樹には分からない。
ただ、視界が真っ暗になった。
床が無くなったかのように足元が揺れる気がするのに、天井が降ってきて下敷きになったのかと錯覚するほど体が硬直して動かない。
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