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2-31 灰色にしおりをはさみました!
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2-31 灰色
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「……」
「……」
「……あは、ごめんね?」
「……」
「……や、やりすぎたかもー」
「……」
ところ変わって歩先ぱいの部屋。
お風呂から出た僕は、歩先ぱいにパジャマを着せられ、ふかふかのタオルを頭にまかれ、完全にリラックスモードな格好になっている。
でも心は全然リラックスしていません。
当たり前だけれど。
「…僕、帰ります」
「え、待っ」
「”倉敷”先ぱい、さようなら」
「たくみちゃん!!」
僕はソファから立って、頭に巻かれていたタオルをぱさりと取った。
さっき、”倉敷先ぱい”、つまり歩先ぱいがおすすめのシャンプーで洗ってくれたからか、いつもよりつやつやとしている気がする。
普段の僕だったら、ものすごくものすごく喜んでいたと思う。
少し不安だった親衛隊。不純な動機ではあるけれど、新しい世界に自分で飛び込んだ。
それは、全寮制の中学への進学を決めたことに比べるとちっぽけではあるかもしれないけれど、やっぱり新しいところに一人で飛び込むのはいつだってこわいことで。
だからそこにやさしい先ぱいがたくさんいたことも、あこがれのピアノがあったことも、たのしかったお茶会も、良質なシャンプーも。
きらきらと輝いて見えた。
でも、だいすきな先ぱいにいきなりこんなことをされて、僕の”うれしかったこと”は全部灰色に塗りつぶされた。
「ひっく、離して、くださいようっ」
「泣かないで、たくみちゃん、僕が悪かった」
「ぅ~、泣いてないですー…」
「ごめん、まさかそこまで傷つけるなんて…」
ふつう傷つくよ。
歩先ぱいによると、お茶会で僕のカップにへんな薬を入れて、僕の身体をビンカンな状態にしてしまったらしい。
じわじわと効くタイプの薬だったみたいで、いっしょにお風呂に入っているときに少しずつ僕の身体はあっつくなっていってしまった。
とは言っても、そこまで計算してお風呂にいれたらしく、それを聞いたときは、もう怒り通り越してあきれた。
なんでそんなことをしたの、と聞いたら、「ちょっといじわるしてやるつもりだった」と白状した歩先ぱい。
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