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実際は
半身半疑だった。
この口車に会長が乗ってくるかそれとも乗らないか
いわゆる、賭けのようなもの。
ゆらゆらとした浮遊感の中
誰かがふわりと飛び降りる姿が見えた。
「捕まれ。」
「……、。」
手を伸ばしてくる会長に驚いて
つい、声が漏れた。
こんなに躊躇なく飛び降りてくるとは思わなかったから。
「文句があるのか?まぁ、第一、俺の誘いを断るなんてありえないだろ?」
「自意識過剰ですね。」
不安定な空中でそう呟くと
手を強引に取ると、その懐に引き寄せ
頭ごと抱き抱えられる。
「おい、クッションあるんだろうな?このまま落ちたら確実に怪我するぞ。」
「あります、一応」
「なら、いい。」
少し上にある顔を見上げると
涼しげなその瞳を柔らかく細め
口角を上げて薄く笑う。
その瞳からは
恐れも迷いも見当たらなかった。
風に靡く細い艶やかな髪がオレンジ色の
夕日に照らされてより
その黒さを際立たせる。
何より引きこまれるのは
吸い込まれそうなほど
真っ黒な力強い光をもったその瞳。
周りが騒ぐ理由が
なんとなく、分かった気がした。
この人を目に留めてしまったら
惹かれて恋い焦がれずにはいられず
ひとを惹きつけて離さない
この綺麗な黒色が欲しいと
__________願うのだろう。
けれど、
「俺とは、関係のないことだけど。」
と、会長から視線を逸らして
迫りくる地面の衝撃にそなえてそっと瞼を閉じた。
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