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天邪鬼な猫にしおりをはさみました!
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天邪鬼な猫
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「っ………もう、無理。」
あがる息に膝をついて
息を整える。
30分もの間、あのレンガ造りの建物の周りで
猫を追いかけ続けていたが、一向に捕まらず体力の限界がおとずれた。
その様子を見ていた猫が
こちらに寄ってきて尻尾を足に巻きつける。
その猫に触れようとすれば
また、遠のいてこの建物の近くに2、3個置かれている
パラソル付きの木の机と椅子のうち
机の上で丸くなる。
そして、俺もその椅子へと腰を下ろして
猫と同じように机の上に腕を重ねて
その上に頭を置く。
「いい加減、鍵を返してもらわないと困るんだけどな。」
呟くように漏れ出た言葉は
猫にも聞こえたのか
尻尾や頭を頰へ肩へとすり寄せる。
「くすぐったいって。」
重ねて置いていた
腕を解いて、猫の頭を撫でると猫は心地好さそうに鳴いた。
「俺の鍵は、どこいったの?」
そう問いかけると
まるで、言葉がわかってるのか
プイッと顔を背けるが
猫はもっと撫でてくれというように頭を手にすり寄らせる。
「わがまま猫だなぁ。」
そう言いながら、頭を撫で続けていたら満足したのか
白猫はその場で身体を丸めて寝ようとする。
その時に、猫がさっきいた場所からあの鍵を発見する。
どうやら、ずっとお腹の下に隠し持っていたらしい。
鍵を見つけたからここから去っても良いはずなのに
心地よい猫の体温に触れているからなのか、暖かい日の光にうとうとと眠気に誘われていった。
だから
誰かの足音が近づいていたのにも気づかなかった。
「こんな所で寝たら、風邪ひくよ。」
そうやって、優しく語りかけてくる声も
頭を撫ぜる体温も感じることはできなかった。
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