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地獄を見る1にしおりをはさみました!
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地獄を見る1
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何かに頭を撫でられる心地がして
目を覚ますと
もう、辺りは暗かった。
けれど、気づいたことが1つ。
何故か
持ってきた覚えのない制服の上着がかけられていること。
「何で、」
考えるべきことは
あるけど、春といえどまだ肌寒い日に
このままここにいるわけにはいかなかった。
その上着とあの白猫が置いていった
その鍵を持って寮へと帰った。
部屋の前まで行くと
何故かドアの前に立っていた矢井島に捕まって仕方なく部屋にいれることにした。
「ふーん。普通の部屋だねぇ。」
会計といい、矢井島といいどうして
同じことをいうのか。そんなに奇抜な部屋に住んでる様に見えるのだろうか。
「それで。何の用ですか?」
「もう、催促するなんてヒドイな〜。そんなに、出ていって欲しいの?」
試すような視線を向けられて
首を縦にふるわけにもいかずに視線をそらす。
「あー。蒼くん待っててお腹減った〜。ねぇねぇ、蒼くんって何でもできそうだよね。料理もできたりするの?」
「何でですか。」
「作って欲しいな〜。とか思っちゃったりして。」
「……無理です。」
「えー。どうしても?」
その言葉に、矢井島は面白いものを見つけたというように
笑う。
「じゃあ!食堂行こうよっ!食堂!今なら人もいないしさっ!」
「いや、」
「もぉ〜、何いってるのさ。蒼くんに拒否権はないよ?」
悪魔のような笑みを浮かべて
強引に部屋の外へと連れ出され
そして、食堂へと半ば強引に連れていかれた。
「こんな遅くに、食堂なんて。」
天使の絵が描かれた扉。
いつ見ても圧倒されるその絵を見ていると矢井島が扉を開けた。
もう、夜も遅いためか
生徒もほとんどおらず、まばらだった。
「ねぇ、蒼くん。佐藤って、あの佐藤でいいんだよね?」
矢井島が注文をしているのを横目に見ながら同じものを頼む。
「あの佐藤って、何のことですか?」
「だーかーらー、オーロ世代の佐藤純の子供なのって話!」
片手を添えて
小声で聞いてくる矢井島に答える。
「そうですね。」
「へぇ〜。」
何時もと違って何処か探るような視線でも
わざとらしい上目遣いとも違って
矢井島は純粋に瞳を煌めかせた。
「こっちも聞かせてほしいことがあります。」
「何々?」
「オーロ世代っていうのが、何なのか知っていますか?」
「まさか、知らないの?」
「最近、初めて耳にしたので教えていただけますか。」
頬杖をついて
興味深そうに相槌を打った矢井島は
ふんわりと笑って答えた。
「知りたいの?どうして?」
「……どうしてって、」
「だって、何にも興味がなさそうな蒼くんが、興味を持つのが“ソレ”なんだもん。君は、何をしたいの?」
探るように瞳を細めた矢井島と
見つめあいながら、時間だけが過ぎさる。
「……何でそんなこと聞くんですか。」
その俺の問いに矢井島が答える声は酷く単調な
ものだった。
「オーロ世代は、力の象徴。それなのに、君は隠れて隠れてその素性を表そうともしない。
単に力がないから?闘う気がないから?
どっちも違う。君はソレを持ってるはずだ。………あの新歓で証明した____けど。それでも隠れてる。だから、何をしたいのか気になるのは当たり前でしょ?」
「巻き込まれたくないからですよ、余計なことに。」
「当たり障りのない答えだなぁ。それとも、隠れなきゃいけない秘密でもあるのかな?ねぇ、蒼くん。」
「だったら、矢井島は?俺に構う必要のある理由でもあるのか。」
矢井島は、今までとは違う口調に一瞬
驚いたように瞳を瞬かせてから笑った。
「否定も肯定もしないんだね。
まぁ、いいや。蒼くんに構う理由が気になるの?
それは、君といたら面白そうだからとでも言っておこうかな。蒼くんが教えてくれないんなら、僕も教えてあげないよ?」
矢井島が誰もが見惚れるような笑顔で
天使のように微笑んだ。
そして、くるりと髪を弄ると続けていった。
「でも、蒼くんが興味があると思ったこと自体が僕にとっては興味深いから。いいよ、教えてあげる。オーロ世代っていうのが何なのか。オーロ世代、それは________。」
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