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罅(ひび)7にしおりをはさみました!
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罅(ひび)7
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後悔、先に立たず。
本当にその通りだった。
俺は、間違え
そして、この言葉通りに、後悔をし続けてる。
【何故_________っ!外へ出たのっっ!!!】
大切にしたいものほど
手のひらから一つ、一つとこぼれ落ちていく。
【あれほど外に出るなと行っていたのに。どうして…………っ。】
大切だと思うほど
あっという間に消えてなくなってしまう。
【よりによって、何故、貴方なのっ_____!】
壊してるのは、間違いなく俺に違いないのに。
そんなことを考える。
【貴方は…………貴方なら、死んでしまおうと構わないのに。】
「ハッ、は、__________っ、。……ごめ、…………さい。」
足りない。きっと、永遠に足りない。
例え、許されたとしても。
この言葉が受け入れられたとしても。
「やめろ。」
「っ…………なさい。俺で________ごめんな、ッさ__ぃ。」
永遠に取り戻せないのだから。
「いい加減に、っ。」
呼吸をするのが苦しくても、肺が痛くても、身体中が凍えるように寒かったとしても、謝罪の言葉を繰り返し続ける。それが、唯一、俺にできることだから。
それを、本当に死ぬんじゃないかと思った日に悟った。
そんなことまで思い出しながら
雨に当たりすぎたせいで、鈍器にでも殴られたように頭が痛みだしていたその時。
何か熱い感触が背中に回る。すぐに、昔へと埋まっていた意識を覚醒させると、その熱さの正体が、会長(めのまえのひと)の腕だと気づいたその次の瞬間には、俺は抱き寄せられていた。
な、に_____?
その一瞬の出来事に訳が分からず、暫くの間
会長(このひと)の肩の上に、顔を乗せた状態で、会長(このひと)の両腕の中で抱きしめられた体勢のままになってしまった。けれど、回らない頭でも、その状況を理解した瞬間、ワイシャツを掴んだままだった手を突っ張れば、背中に回っていた腕に力が入れられぴったりと隙間なんてないほどに、まるで、縋り付くみたいに抱きしめられる。片方の手は腰周りへ、もう片方は後頭部へ添えるようにかけられた手が布越しにも関わらずとても熱くて、やっと、意識を会長(めのまえのひと)に向けた。
「頼むから、……っ。俺の話を聞け。」
大雨の中でもよく響く声に、耳を傾けた。
「上手に、息しろ。」
本当は、考えるべきことは、色々とあるはずだった。呼吸がおかしいとかどうでもいいから、逃げないといけないとか。この後、髪を染め直すから早く染色剤を買いに行かないととか。
でも、触れる体温がとても熱くて熱くて
胸の中で渦巻いていた感情が全て溶けていくような気がした。
全部、どうでもいいんじゃないかと錯覚するほどに。
カチリ________と。
まるで、抜け落ちて空白だらけのパズルのピースを埋めるように、淡くぼやける何かが嵌る音がして、記憶にない何かの絵の断片が脳裏を駆けていく。
「………………?」
「大人しく深呼吸しろ。」
強くなる頭の痛みのせいなのか
呼吸の苦しさのせいなのかは、分からない。
別の人ならまだしも、会長(このひと)に寄りかかることだけは嫌だった。今すぐにでも、この手を跳ね除けたいと思うくらいは。
それでも
今だけだ______と。
会長(このひと)の言う通り、深呼吸を繰り返して、頭の痛みと呼吸の苦しさが柔らぐのを待った。
布越しにも伝わってくるほどの熱い手の感触を感じながら目を閉じれば、何故だか、暗闇から抜け出せるそんな気がした。
けれど、同時に怖くもあった。
会長(このひと)から
俺へと向けられる全てのものが
ただ、怖くてしかたなかった。
キンっ______と。
また、耳鳴りが鳴り響いた。
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