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夜の海へ①にしおりをはさみました!
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夜の海へ①
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――――そこで、僕はふいに思い出す。
この酒場に来る前に歩いてきた道で、僕の耳に聞こえてきた歌声のことを―――。
『……正直、早く想太が落としていった白い花の手掛かりを掴みたいし、セイレーンを退治するなんて恐ろしいことはしたくない……でも……………』
僕は、心の中で戸惑いながらも、目の前にいて大粒の涙を溢しながら僕らに助けを求めてくるティーナを真っ直ぐに見つめる。
『…………目の前にいるティーナさんも、僕らと同じように大切な人達を救うために苦しんでいるんだ……』
――――ふいに、そう思ってしまうと、
「……分かりました。僕らが、セイレーンを退治しに行きます。」
サン達の意見も聞かず、自分だけの判断で、ティーナとノルマンへと言ってしまったのだった。
サン達は、僕が自分だけの判断でセイレーンを退治しに行くとティーナやノルマンへ言ってしまった事に対して、呆れたような表情を浮かべていたが、
「…………ったく、俺様達の意見も聞かずに、勝手に決めるんじゃねえよ。でも、まあ……言っちまったもんは仕方ねえから……セイレーン退治にのってやるよ。」
「もう~……マコトの恋人くんったら、仲間であるミスト達の意見も聞いてよね。まあ、何はともあれ……セイレーン退治、頑張ろうね!」
「……他人を思いやれる優太なら、そう言うと思ってた。だから、俺は何も言わない。お前の事は、俺が……守ってやる。」
「……………勝手にしろ。」
相変わらず、サンだけは不機嫌そうに素っ気なく僕に言い放ったが、皆の優しさに、僕は思わず泣きそうな表情を浮かべてしまった。
「あ、ありがとう…………それと、ワタシのワガママなお願いに巻き込んでしまって……ごめんなさい。でも、ワタシはどうしても、アンデッドの皆と……そこで錯乱しているウィリアムを救いたいの…………」
「ワシからも、礼を言う。そして、迷惑をかけてしまって済まんな。」
相変わらず大粒の涙を溢しているティーナと、ティーナとは違って冷静なままのノルマンから、礼を言われ、僕はこれから出会う事になるセイレーンに対する恐怖心を一時的に忘れ、心の底から満面の笑みを浮かべてティーナやノルマンを見つめるのだった。
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