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朔月にしおりをはさみました!
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朔月
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もう思い出せないほど前から、どうしようもない諦観が、己の中にある。
「Ωとしての人生」というもの。それを受け入れた瞬間から。
受け入れた、というか、受け入れさせられた、ともいえるが。
いや、途中でこの運命を拒むことはできた。出来たはずだ。
他でもない、俺が罪を犯したあのときに。
でも、そうしなかった。
俺は受け入れた。
こんな最低で最悪な、汚泥に息も身動きも全て絡め取られるような人生を。
あいつが、
どうしようもなく、
欲しかったから。
渇いて干からびた俺が唯一、その渇きを潤せる相手だと、そう思ったから。
汚泥の中に浮かぶ真白い蓮のように。
俺の澱んだ世界の中で唯一美しいものであったあいつが。
手に、入るのなら。
俺は泥にまみれたままでいいと思っていた。
『やめて、や、やだ……ぃぁだ、ぁ、だめ、だめだこんなの…っ、なぁ、やだ、やめて……つきの……!』
耳の中であのときの声が反響する。
悲痛で、哀れみを覚えるはずのその叫びに、俺はどうしようもなくあのとき、興奮していた。
だからそのまま、手折ってしまったのだ。
泥に埋もれてしまえば、その花だって枯れるだけだったのに。
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