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はんぶんこ③にしおりをはさみました!
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BL Land「2014 Valentine」Tour{増刊特集}
はんぶんこ③
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晃が貰うバレンタインチョコは、甘い物好きな省吾が端から平らげる。毎年の恒例行事、寧ろ晃にとってのバレンタインという行事はそれがメインのように思える。
今年もやはり喜んで貰うだろうと思っていたら、いらないと言葉が返ってきた。
「へえ、なんで」
「……晃が貰ったもんは、俺が食べちゃいけなかったと、反省したんだ」
バレンタインコーナーから離れ、店内奥へと歩き出した省吾の背中を眺めながら、晃はハテと首をかしげる。
なんだなんだ。また誰かから変な知識を吹き込まれたんだろうか。省吾が食べてくれないと正直困る。母親は太るからと食べたがらないし、俺も好んで食べたくない。とはいえ封も開けずに捨てるわけにもいかないから、放っておけばいつまでも食べ続けられる甘党省吾の腹に入って貰うのが一番幸せな解決法なのだ。
まあ帰って目の前に広げてやれば食べるに違いないと軽く頷き、牛乳パックを1本手に取り振り返ると省吾の姿が消えている。晃はぐるりと店内を見回し、菓子コーナーで板チョコレートを眺めている省吾を発見した。言ってるそばから物欲しそうにチョコレートを眺める省吾がなんだか可笑しい。
「省吾」
名前を呼ぶと、振り返った省吾の手には定番板チョコレートが握られている。
「チョコなら家に帰ったら沢山あるって言ってるだろ。それを食えよ」
「いい」
強情な奴だなと軽く呆れながらも思わず頬が緩む。
「何だよ、それが欲しいのか? 一緒に買ってやる、かせ」
「いい、自分で買う」
省吾は大きな黒い目をくるりと回し、それから1人でレジへ向かった。その後に晃も続き、牛乳の支払いを済ませる。
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