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入学してから間もない
まだ4月の事
俺の両親は死んだ
良く晴れた日だった
一軒家に住み、庭には小さな犬が一匹。夫婦の間には一人息子がいて、その息子は大切に育てられた。
絵に描いたような家族
もちろん夫婦は喧嘩だってしたし、浮気問題が発展して離婚の危機にまでなった事もある。
それでも仲の良い夫婦‥そんな人達だったと思う。
交通事故
即死だった
学校から一秒でも早く駆け付けようがどうしようが、俺が両親とまた会話をする事は不可能だった。
信号無視のトラックはブレーキ痕を残す事もせずに猛スピードで突っ込んだ。電柱とトラックに挟まれた車は無残なモノで。それでも間違いなく父の車だった。
トラックを運転していたのは酔っ払いのおっさんで、怪我をしたけど命に別状はなし。記憶がないと言い続けるおっさんは罪から逃れたかったのかは知らないけど、防犯カメラに映った映像が動かぬ証拠だった。
酒気帯び運転での死亡事故
危険運転致死傷罪だか自動車運転過失致死傷だかそんなのはどうでも良くて、俺の前に置かれたのはただ両親が死んだとゆう事実だけだった。
結婚記念日だった
共働きの両親が有給を使って久しぶりに二人きりで旅行に出掛けた。
『やっぱり永久も一緒に行かない?』
『今から学校行く奴に言うなよ。2人でゆっくりしてきて?』
『ふふっ、ありがとう』
『んじゃ、気を付けて』
『行ってらっしゃい』
どこの家にでもあるような普通の会話。
それが最後の会話だった。
その後すぐ
約束していたお土産も持たないまま、旅先で思い出を作る事も無く両親は帰ってきた。
遺体は損傷が激しく、顔にも深い傷から浅い傷まで沢山の傷が出来ていた。
閉じたままの瞼はぴくりともせず、上下に動かない胸元を見て、両親の顔に出来た傷が癒える事はもう無いのだと理解した。
『気を付けてって‥言ったのに‥』
涙は無かった
この感情がどういうモノか分かりたくもなかった
目の前が真っ暗になった
それでも塞ぎきれないモノを塞ごうと両手で目を覆った
見ていられなかった
傷だらけの両親はもう治る事もなく焼かれて骨になってしまう
それでもおっさんはまた酒を飲むんだろう
それでも俺は生き続けなきゃいけないんだろう
悲しさ
寂しさ
悔しさ
怒り
憎しみ
下唇をキツく噛み
全てを呑み込む
人は生を授かった瞬間から死に向かって歩いてる
時間を無駄に使おうが、どれだけ人から必要とされようが
所詮は死ぬ為の人生
なんの為に生きるの?
なんの為に生き続けなきゃいけない?
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