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「‥」
「起きたか」
「‥?」
ゆっくり首を動かせば、見たくなくてもほとんど毎日見なきゃいけない担任の顔。
白いベッドにカーテン
どうやらここは保健室らしい。
「袴田‥先生‥」
「‥気分は?」
「気分‥は‥悪い」
胃が縮んで食道を圧迫するような不快感。気持ちが悪くて呼吸が浅くなる。倦怠感から起き上がる気力もなかった。
「授業中倒れたの覚えてる?」
「‥あー‥なんとなく」
コイツの授業中‥急に頭が重くなって支えてられなくなった。確か机に顔面強打して‥壱の声が聞こえた気がしたけど、そこでぷつりと記憶は途絶えていた。
「‥熱がある。今から病院連れてくから」
「‥でも」
「口答えはするな」
「‥」
「まだ授業中だけど俺の授業はもう無いから」
「‥アンタ担任教師だろ?HRとかもあるし‥病院は自分で行くから」
フラつく体を無理やり起こして靴を履く。
「‥」
「早退すみません‥っ!」
立ち上がった途端に視界が揺れて体が傾く。
「‥アホ」
「‥‥」
倒れそうになった体を片腕で軽々と支えられてしまった。
なにこれムカつく
俺絶対謝んないから‥
――‥
「風邪ですね。熱高いし食欲もないみたいなんで点滴しましょうか。気分が悪い所無理に食事して戻しても悪いですからね」
「‥お願いします」
結局引きずられるように病院に連れて来られた俺は点滴をする事になった。
ベッドの上。
針が刺さったままの腕が痛々しくて少し怖い。
「‥先生」
「ん?」
「点滴‥時間掛かるから帰っていいですよ」
「‥アホ」
「‥‥」
アホアホ言うなし
アホじゃねーし
言わないけど
「少し寝ろ」
「‥先生」
「ん?」
「‥いや、何でもないです」
フッと笑い俺の頭を撫でる。俺より少し大きくてゴツゴツする手は、毎日チョークを持って数式と向かい合う数学教師。
その手は俺に触れる度、優しさと安心感を置いていく。
「先生‥」
「‥」
冷たい先生の手が俺の前髪を掻き分け熱のある額に触れた。気持ちよさに瞼を閉じれば、睡魔が襲い掛かり深く呼吸をする。
「‥み‥のるさ‥」
「ここにいる」
「‥俺‥起きるまで‥いなくならないで‥」
「‥いるよ。安心して眠れ」
落ちていく
ゆっくり早く落ちていく
冷たい手が熱をさらうように
俺の意識は夢にさらわれた
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