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パーツ 7
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真弓side
心が ざわめく。
何で企業交渉を僕が やる なんて 言ってしまったんだろう?
山科千春。
あの男のせいだ。
山科千春の営業所の今月の目標達成率は 月末を待たずに 300%アップ。
飄々として 掴み所 が 無いな ってのが去年の僕が初参加した部品会議での 第一印象。
約一時間 毎月毎月 会議で顔を合わせているのに 先月も喫煙所で 一緒になっても 知らん顔をしていた。
僕に敵意を持っているのだろうか?
うつむき加減で 灰皿の前のベンチに座って 黙って煙草をふかしていた。
僕は奥の自動販売機の陰になるような ベンチに 身を潜めるように座っていた。
すると
「千春さん?千春さんでしょ?」
女の声。
この女も煙草吸うのか?
「やっぱり千春さんだ!外から見えたから 喫煙スペースにきちゃった。いっつもここでは 下向いてるんですね。本社に来たときは 総務に寄って下さいよ。冷たいんだから。ご飯行きましょうよ。皆で。たまには 総務の私達に 付き合ってくださいよ。」
「いやぁ 見つかっちゃった。勘弁して下さいよ。他にも 誰か居るっしょ。」
「千春さん。もう 総務だけじゃ ないんですよ。保険だって 人事だって 業務だって 新車課 秘書課だって 千春さんの取り合いですからね!」
「いやぁ 他にも良い男沢山居るっしょ。……例えば ……部品部の部長とか。
あの人 イケメン スタイル抜群 頭良いみたいだし 声低音で。」
「キャー 何言ってるんてすか?千春さん 部長を好きなんですか?
キャー同性なのに。」
「何言っちゃって くれちゃってるの?
まぁ もうすぐ 社員旅行だし 現地行ったら皆で 酒飲もう!皆でね」
「本当に?約束ですよ。私達千春さんファンクラブですからね!
じゃあ。あー煙い 煙い。
私達のこと 避けて 喫煙スペースにいつも居るんじゃないですよね?千春さん。
旅行楽しみにしてますからねー。」
ああ 又ね
と 当の千春 山科千春は ひらひら手を振って又 下を向いて煙草に火を点けた。
何故 もてる?
この男。 確かに 何か 惹き付ける。
僕も 何故か
気に なる。
本社で会議のある度 それとなく 様子を見るが 特にどうということもない。
中肉中背。
まぁ 別に どうでも良いんだが。
何か。
明るさの中に 一抹の 寂しさの顔が 表れる。
何だろう?
別に 取り立てて どうこう ではないんだが。
何だろう?
顔は確かに整っている。
嫌みの無い 雰囲気だ。
他の営業所の社員と 話しかけられたら 普通にかえしている。
気がつけば 男女問わず皆から好かれている。誰もが 近づいていこうとしている。
女性にも男性にも同じ態度で話している。
確か独身だったよな。
ちょっと気になって それとなく調べたら 扶養家族は居なかった。寮に住んでいないから 地方出身では無い。訛りもないから 神奈川出身なんだろう。
確かに 笑うと ゾクッとするような 艶がある。艶というか 優しい笑顔だ。目を細めて 見上げた瞳がキラキラして いわゆる笑顔が眩しい奴だった。
男のくせに くちびるの血色が 良い。
まぁ どうでも 良いんだけど。
本当に どうでも 良いんだけど。
山科千春。
横浜営業所の。
近くに 置きたい部下 かなぁ。
近づけば 少しは 話を したり するように なっていくのかな?
喫煙スペースも兼ねた休憩所に誰も 居なくなって 腰を上げて 出ていこうとしたら 社長とばったり会った。
ここは会社だから 一応 会釈して 出ていこうとしたら 呼び止められた。
「真弓。ちょっと待て。
煙草1本吸うまで付き合えよ。」
先日の続きか?
この間から 母にお見合いをするよう 言われている。
釣書とそれらしい 厚紙の写真が何枚か 積まれていた。
わざと 言葉を崩さずに 答えた。
「社長?何か?」
「今はお前と俺以外居ないよ。」
「はぁ。何でしょう?」
「来週異動が有って ここの部品に人が入る。横浜営業所の 山科って言ったかな。」
「はぁ。」
「いつまでも部長職のお前が 現場で部品担当になってる訳にもいくまい。前の担当が いきなり居なくなって不自由だったろう?生え抜きの奴を選んだつもりだが。」
「デキル奴なんですか?」
「あぁ お前だって知ってるだろう?達成率みてるんだから。奴は以前本社にも居てな。先代の社長の時だ。
誰にでも 面倒くさがらずに対応する。
客の評判も良い。
先代の社長の 大のお気に入りでな。
先代の社長は ちょっと 公私の区別が出来なくてな。
社員の評判も最悪だったし。山科君は 社員の不満の緩衝材にもなってくれて 社員への風当たりを和らげてくれていたんだ。
社員が皆 山科君の味方になってくれてな。
それで 嘆願書がメーカーに来て。
それで 俺が一般社員としてここに入って 先代の社長を 極秘入院させて ほとぼりが冷めてから社長に就任したんだ。
だから 山科君は社員 特に本社の人間から好かれているんだ。」
なるほど そういう訳か。
「人事に口出しはしませんが 山科とやらも 使えない クズなことをやっていたら容赦なく 切るなり 異動して下さいよ。社長。」
「あーそれはわかっている。でも 奴は人に好かれているらしくて 客の評判も悪くない。顧客をここでも掴むだろうよ。煽られないようにするのはお前の方かもな。延びる売上げにアタフタするなよ。」
「もちろん。仕事は きっちりやります。実績は落ちてないですよね。」
「宜しく頼むよ。部長。」
とニヤリと笑った親父 否 社長に 頭を下げて 職場に戻ったのだった。
山科千春。
可もなく不可もないと思っていたが どうも 意識してしまう。
どうでも良い 奴 だろう?
そう どうでも 良い。 筈。
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