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season #44にしおりをはさみました!
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season #44
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休み時間、淳一は貴田を観察していた。
満遍なくみんなと会話し、笑っている。
笑い方が……似てる?
それ以外は、特に怪しい素振りもなく、淳一を警戒する様子もない。
もうすぐ夏休みになってしまう。
ケリをつけるなら、今のうちだ。
淳一がじっと貴田を見ていると、いつの間にか周りに人が集まっていた。
「ねぇねぇ、淳一君。今つきあってる人いないってほんと?」
淳一は貴田から目を離さず答える。
「ああ、今はいないけど……。」
「じゃ、私と付き合おうよ。」
「何?お前淳一狙い?こいつ、結構冷たいよ。俺にしとけば?」
「却下!」
淳一はみんなの笑い声に包まれても、全く興味がなさそうに頬杖をついて、
貴田を見ている。
「ねぇ、淳一君!」
女子生徒が淳一の肩に手をかける。
淳一の視界から貴田が隠れる。
淳一は女子生徒の手を払いのける。
「今日の淳一君冷たい!」
女子生徒が口を尖らし、体で貴田を隠す。
「どけよ。」
「やだ!」
淳一がやっと顔をあげると、女子生徒がふくれっ面で淳一を見ていた。
「ごめん。何?ふくれんなよ。」
淳一は女子生徒の頬を摘む。
女子生徒が恥ずかしそうに淳一を見ると、淳一はニヤッと笑う。
さらに顔を赤くする女子生徒をそっとどかして貴田を見ると、
さっきまでいた場所に、もう貴田はいなかった。
淳一は小声で聞いてみる。
「貴田ってさ……。」
部活が終わる頃、体育館の入り口はいつも騒がしい。
数人の女の子達が群がっている。
みんなのお目当ては雅範だ。
雅範がボールをしまいに入り口近くにやってくると、
女の子達のテンションが一気に上がる。
「雅範君!」
「赤石く~ん♪」
口々に雅範を呼ぶ。
雅範はにっこり笑って、女の子達に近づいていく。
「ダメだよ。大きな声出しちゃ。先輩に怒られちゃう。」
雅範はシーッと口の前に人差し指をあてる。
女の子達は、あっ……と、体を小さくして下を向く。
「気をつけてくれれば大丈夫だから。」
雅範の爽やかな笑顔に女の子達は釘付けになる。
「あ、中学、一緒だったよね?」
雅範は一番小柄な女の子に声をかける。
「……うん。同じクラスには…なれなかったけど……。」
女の子はもじもじしながら答える。
「あ、私も覚えてる?同じ小学校だったの。」
その隣にいたショートボブの女の子が割ってはいる。
「うん。6年の時1組だった?」
「ブーッ。2組でした!ひどい。覚えてないんだ。」
「ごめんごめん。じゃぁさ……。」
雅範が小声で話し始める。
「よっ。久しぶりぃ。」
昔みんなでよく遊んだ小学校裏の公園。
夕暮れ時の薄暗い中、ブランコの脇で、学ランがにっこり笑って立っている。
和哉もにっこり笑って、駆けて行く。
「どう?昔のみんなに会ったりしてる?」
「西沢からメールがあるなんてびっくりしたよ。野球は?続けてる?」
「いや、もう辞めた。今は写真部。お前は?」
「俺は続けてるよ。」
そう言うと、学ランは投げるポーズを取る。
「ところでさ……。」
和哉は学ランの隣に並ぶと、ボソボソと話始めた。
「調べましたよ。」
和哉は木の下のテーブルまでくると、ニヤッと笑って5人を見回した。
「さすがカズ!」
淳一が和哉の肩に手を回す。
「で?どうだったの?」
「俺も調べたんだよ。」
雅範が慌ててみんなにアピールする。
智は一人、渋い顔をして弁当を食べ続ける。
修はそんな智をチラッと見て、和哉の次の言葉を待った。
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