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episode.83 欲しいものはにしおりをはさみました!
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episode.83 欲しいものは
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※「もう一度、僕を呼んで」のepisode.14-9、14-10とリンクしています。
〜恋side〜
「クレアは汚くないよ。」
恋は気づいたらそう言っていた。
ラズも隣でクレアの手をぎゅっと握っていた。
「汚い、よ?レンは、話、聞いてないの?」
「もし聞いても、汚いなんて言わないよ。クレアはすごく綺麗だよ。」
「な、んで……」
クレアの目から涙がこぼれる。
「リヴィ、も、そう、言ってた。」
「クレアは綺麗だよ?俺もそう思う。」
明希も柔らかい笑顔でそう言った。
「ど、して……?ど、して、みんな、そう言ってくれるの……?」
「本当のことだからだよ?」
「リヴィ、に、あいた、い。」
クレアは嗚咽を漏らし、途切れ途切れにそう言った。
「う、ぁっ……リヴィ……」
クレアは壊れたように涙を流し続けた。
(今まで、我慢してたのかな……)
「クレア。」
見かねたハンスがクレアの名前をそっと呼ぶ。
だがクレアはまったく聞こえていないようだった。
「アクア。」
だが、ハンスがそう言ったときは違った。
ピタリと泣き止み、ハンスの方に顔を向けた。
「……ぁ、ハンス、さん?どこ、いるの?」
クレアの目はまるで見えていないかのようだった。
目の前にいるハンスを認識せず、声には反応する。
「アクア、俺たちはそばにいる。そばにいるぞ。」
「あ、いたい……みんなに……」
恋は気づいたらクレアに手を伸ばしていた。
ぎゅっと抱きしめ、背中をさすった。
「……れ、ん?」
「会える。会えるから。絶対会える。」
「う、そ……」
「会えるよ。クレアが、会いたいって、ずっと思ってれば、絶対会えるよ。自分が汚いなんて言うな。クレアはすごく綺麗だから。だから、みんなに会えるよ。」
恋はどうしてそんなことを自分が言い出したのか、まったくわからなかった。
でも、言わずにいられなかった。
「……レンっ、俺……愛、が欲しいっ……」
その言葉は、恋の心にずしりと響いた。
「……大丈夫。リヴィさんは、クレアのこと愛してるよ。」
恋は自分でそう言って驚いた。
今まで、自分がまったくわからなかったもの。
(愛って……こういうのも、そうなんだ……)
自分がクレアに向けている感情も、また愛なのだと、恋はそう思い知った。
「クレアは、綺麗だよ。」
恋がもう一度そう言ったときだった。
「恋!クレアの目が、変わった……!」
明希がそういうので腕を優しく解き、顔を覗き込むと、先ほどとはまったく違った目をしていた。
それは透き通るようなマリンブルー。宝石のアクアマリンのような、目だった。
「……は、ハンスさんっ……!ロンっ……!」
クレアの目からは更に涙がこぼれる。
でもそれは、先ほどまでのそれとは違っていた。
「く、クレア……!」
「すぐ、すぐにリヴィさんに教えてあげなきゃ!!」
ロンは焦りからか椅子から滑り落ちる。
「……っふふ、あはは!」
クレアが笑い出したのをきっかけに、その場の全員が笑い出した。
クレアは涙を流していたけれど、とても綺麗な笑顔をしている。恋はそう思った。
(愛が、欲しい……か。)
これは、恋の中にも変化をもたらしていた。
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