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episode.99 戻った記憶にしおりをはさみました!
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episode.99 戻った記憶
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〜琉side〜
琉が17時頃帰宅すると、恋がソファの前に座り込んでいた。
「恋?!」
恋の左腕はまだ包帯が巻かれていて、傷が残っている。
「あか、つ……さんっ……」
恋の目からは涙が溢れていて、頬を伝った後もある。
相当泣いたらしい。
「うっ……ぁっ……あか、つさんっ……」
恋はぎゅっと琉に抱きついてきた。
「大丈夫。大丈夫だぞ。そばにいるから。」
琉は震える恋を抱きしめ、頭を撫でた。
落ち着いた恋から話を聞けば、事故についての記憶を取り戻したらしかった。
琉はすぐにそのことを紘に連絡した。
紘からは、検事と会ってほしいと言われ、琉は恋にもそれを伝えた。
*
2月6日
翌日、琉と恋は紘に教えてもらった検事の事務所を訪れていた。
「今回の事件を担当しています。検事の九十九遥(つくもはるか)です。」
いかにも真面目、といった風貌の男はそう言った。
「紘さんから紹介されてきました。赤津です。こっちが青木恋です。」
「お掛け下さい。」
遥は書類を取り出し、さらに恋の発言から新しく書類を作った。
「よくわかりました。これで恐らく9年前のことは立証できます。松宮家放火事件の方の証拠と合わせて提出すれば立証には十分です。」
「ありがとうございます。」
「本当にありがとうございます。」
「……それから、失礼を承知でお聞きしますが、病院に、聖川千秋さんが入院してることはご存知ですか?」
遥の言葉に琉は固まった。
「聖川千秋さん……?」
「紘さんと一緒にこの事件解決に向けて動いてくれた子だよ。恋と同い年だ。」
琉は軽く説明する。
「入院してるんですか。運ばれたのはニュースで見ましたが……」
「担当医が私の婚約者でして……」
遥の発言に琉も恋も少し驚いた。
「鈴木零といいます。」
「鈴木先生……!俺もお世話になりました。」
「そうでしたか!その、零から聞く話では出廷は無理そうとのことで……松宮家の生き残りとして証言してもらいたかったのですが、それは無理そうなのです。」
「その、それは、俺が出廷するのではダメですか?」
恋がそう言うと遥は恋の方を見る。
「いいのですか?実はそれをお伺いしようと思って……」
「出廷します。赤津さん、いいですよね……?」
琉は恋の顔を見て微笑むと頷く。
「恋が決めたんなら俺は応援するよ。」
「それでは法廷では……」
そのあとは遥が法廷での身の振り方を教えていた。
いよいよ、俊蔵の悪事が全て、裁かれることになる。
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