アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
episode.100 決着と新たな壁?にしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
episode.100 決着と新たな壁?
-
〜恋side〜
2月7日
烏沢俊蔵の第二審が、裁判所で行われていた。
傍聴席には赤津、木之本、明希、紘の姿がある。
恋は証言台にいた。
「それでは、記憶に従って9年前のことを話してください。」
恋は遥に言われた通り、9年前の事故のことを話した。
トラックが突然こちらに向かってきたこと。
横向きに道路を塞いだこと。
その運転席にいたのは、烏沢俊蔵だったこと。
「この証言が本当だとすれば、雨によるスリップ事故だとされていたこの事故は、故意に起こされた殺害のための事故であったということになります。裁判長、もう1つ証拠を提出してもよろしいでしょうか?」
「認めます。」
「これは、松宮家放火事件の時に収められた映像です。」
遥の手に握られているのはUSBだった。
遥がパソコンにつなぎ、裁判所のスクリーンに映像が映し出される、
それは、俊蔵が、松宮夫妻に詰め寄るところだった。
部屋を覗くような形で撮られているらしく、撮影者は恐らく千秋だろう。
映像の中で俊蔵は自分の悪事を自らの口で語っている。
これほどの証拠はないと思えた。
「これ以上の証拠はないと思います。以上です。」
結局、その証拠が決定的となり、様々な悪事に手を染めた烏沢俊蔵は無期懲役という、かなり重い刑が下された。これもまた、日本の歴史に残るであろう、異例のことだ。
解決までの速さといい、結果といい、日本中の注目を浴びた事件は、静かに幕を閉じた。
*
「さて、帰ろうか。」
「今日はお祝いだー!」
翔也が明るい声でそう言う。
「そうだ、婚約パーティーしてないな。」
「帰ったらやりましょうか?」
琉の一言に、恋が反応した。
「いいねー!」
「は、恥ずかしいからいいって!!」
紘は千秋の様子を見に行くと言って病院に行ってしまい、4人は裁判所の前で並んで歩く。
赤津、恋、明希、木之本の順に並び、他愛もない話をする。
恋は、今なら言える気がした。
(事件も片付いたし……好きって、言いたいかも。)
恋は急に立ち止まる。
それに気づいた赤津も足を止めた。
「恋?どうした?」
明希と木之本も少し先で、足を止めている。
「赤津さん……半年の記憶は、まだ戻ってないんですけど……」
恋は俯く。
そして、覚悟を決めて顔を上げる。
「俺、赤津さんのことが……」
「琉さん!」
恋が言おうとした言葉は、誰かの声に遮られる。
確かにその声は、"琉さん"と呼んでいた。
そして、次の瞬間、恋の目には衝撃的な光景が映っていた。
「琉さん、会いたかった!」
恋の横をするりと通り抜けた男は赤津にキスをして、あろうことか抱きついた。
「き、き、き、キスぅぅぅぅ?!」
明希は口元に手を当てつつもそう叫び、恋は呆然。
木之本はあちゃーといった顔をしていて、赤津は。
「こら!何すんだバカ!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
114 / 832