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番外編 紘と千秋 終にしおりをはさみました!
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番外編 紘と千秋 終
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〜紘side〜
千秋は俺が、烏沢紘だってわかってない。
似てるやつだとでも思ってるんだろうか。
名前を教えたら少し驚いた顔をしたから、多分俺を忘れたわけではない。
千秋のそばにずっといてやりたいが、そうもいかない。
裁判のことがあるから。
今回は父上の犯罪がローデンス国にまで被害をもたらしかけていたから、ローデンス国王子から日本政府に、迅速な対応を求めるっていう声明が届いて
そのおかげで裁判が異例の速さで行われることになった。
逮捕前からある程度準備しておいてよかった。
担当の検事が、病院に来てくれた。
「九十九遥です。話は聞かせてもらいました。証拠も十分、勝訴は確実です。しかし9年前の事故と放火の立証が難しいですね……」
「放火に関しては、証拠映像が残ってます。最後の最後に切り札で使ってください。」
九十九検事に映像を見せたら、苦い顔をした。
そりゃそうだ。あんなの見たら誰だってそうなる。
「ひどい。でもこれがあれば確実に立証できます。問題は事故の方ですね……」
「それについては……車に乗ってて生き残ってる子が、います。」
「事故の資料とは異なるのですか?!」
驚く九十九検事に色々と事情を説明し、赤津さんに相談してみるということを話した。
「わかりました。それから、聖川千秋さんのことなんですが……」
九十九検事は言いづらそうに口ごもる。だが、一つ呼吸を置いて話を続ける。
「烏沢俊蔵の尋問での発言によると、烏沢俊蔵は千秋さんを"壊した"のだそうで……どうやら、紘さんのことを話したようなんです。」
どういうことだ。
なぜ、なぜ俺の名前が出てくる?
「"千秋が壊れたのは紘を壊したと言ったからだ"、とそれしか言わないのだそうです。他の罪に関しては肯定も否定も何もしないそうです。」
そうか、そういうことだったか。
千秋の中で、俺は"壊れた"んだ。
死んだとでも思っているのだろう。
「その件もあり、9年前の放火の件もあるので、本来は法廷に立って頂きたいのですが、零……鈴木先生によればそれは難しいとのことで……」
「鈴木先生とお知り合いなんですね。」
「ええ、まあ……婚約者で……」
「そうだったんですか!それならかなり話は聞かれたかと思いますが……多分法廷には立てません…」
「はい……今は心のケアの方が大変だと、零が言ってました。」
「そう、ですね……裁判の方は九十九検事にお任せします。俺にもできることはもちろん手伝います。」
「無理なさらないでください。ただ、青木さんとの連絡だけは紘さんにお願いします。もし記憶が戻るようなことがあれば知らせてください。」
「わかりました。」
それから裁判が行われて
初審の後に恋の記憶が戻って
第二審でもう決着がついた。
……いや普通ならありえないんだが……今回は特例も特例だ。
それから、千秋は通院になることが決まった。
体の傷もまだ痛々しいが、歩けないなどのことはないし、何より治すべきは心の方だと鈴木先生は言った。
心を治すには、日常を送る方がいいのだそうだ。
俺は千秋と2人で暮らすことを決めた。
それからのことは、また、別のお話。
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