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episode.109 腐男子の勘は当たるよにしおりをはさみました!
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episode.109 腐男子の勘は当たるよ
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〜恋side〜
「……え?」
恋は思わず聞き返してしまった。
「あの人嫌い。嫌だ。」
「こら、貴也。」
「あ、構いませんから……ちょっと話聞かせてくれる?」
瑞貴が怒ろうとしたが、恋はそれを止めて貴也に聞く。
「あの人、酔ってないよ。絶対。」
「……それで?」
「紘さんに甘えてるのもわざとだし、多分みんなが帰ったら琉さんに甘えるよ。翔兄さんはバカだし、明希さんしか目にないみたいだからあんな感じだけど……」
リビングからは楽しそうな笑い声が聞こえる。
「あの人、絶対性格悪いし。」
「それどっからきてるんだよ……」
「腐男子の勘。」
「なんじゃそりゃ。」
恋は思わず笑ってしまう。
「真剣に。恋さんも気をつけたほうがいいよ。わかってると思うけど、あの人、琉さんのこと好きでしょ。」
目ざとい。恋はそう思った。
貴也は中学生とは思えない観察能力があるらしい。
「腐男子の勘は当たるよ。」
貴也はそう言い残して、瑞貴と帰って行った。
恋はそのことを考えながらその後を過ごし、全体がお開きになったのは22時を過ぎた頃だった。
「それじゃ帰るね。」
明希は疲れたのか眠ってしまっていて、木之本がおぶっていた。木之本は明希が起きないうちに、と静かに帰って行った。
「千秋、帰るよ。」
"……恋、泊まったらダメ?"
「え、どうしたの?」
"恋と一緒にいたい……"
「俺はいいけど……」
恋はそう言って赤津に目をやる。
「俺も別に構わないよ。小雪はほっとけ。」
小雪は机に突っ伏していた。
"ヒロさん、ダメ?"
「いいよ。」
「よかったら紘さんもどうですか?」
「千秋、どうする?」
"ヒロさん明日も仕事?"
「そうだな。」
"じゃあヒロさんはお家帰って。明日……迎え、来てくれますか?"
「うん、わかった。」
紘はそう言って千秋の頭を優しく撫でる。
その時の紘の表情はすごく優しくて、恋は紘にとって千秋は特別なんだ、などと考えた。
「それじゃあよろしく。怪我ももうほとんど治ってるから大丈夫だと思うけど……なんかあったら連絡して。」
紘はそう言うと家に帰って行った。
「千秋、寝るときどうする?」
"任せるよ?"
「恋、一緒に寝てあげれば?俺、翔也たちがいつも泊まる部屋で寝るから。」
「そうですね、そうします。千秋、俺の部屋でいい?」
千秋はこくりと頷く。
その後、千秋、恋、赤津の順に風呂に入った。
「小雪、小雪。」
「んー……なぁに……」
「ベッド行くぞ。」
赤津が小雪にそう言う。
「千秋、先に部屋行ってて。」
"わかった。"
恋は千秋を先に部屋に行かせ、恋は水を用意しようと冷蔵庫を開ける。
「りゅーさん……はこんで……」
「ったく……仕方ねえやつだな……」
赤津はひょい、と小雪を抱えると部屋に向かう。
恋も水の入ったコップを持って後を追った。
「恋、こいつに水飲ませといて。俺、トイレ行ってくるから。」
「はい。」
赤津が出て行き、部屋には恋と小雪の2人きり。
「小雪さん、水飲んでください。小雪さん。」
「うるさいなぁ。」
はっきりとした声が聞こえてきて、恋はびっくりした。
「大丈夫だって。僕お酒強いもん。」
そう言いながら恋の手に握られていたコップを取り、水を飲む。
恋は固まって動けなかった。
「ねえ、恋さんさ、琉さんのこと好きでしょ?」
恋の心臓はドクドクと鳴る。
顔にも全身の熱が集中したのではないかと言うくらい熱くてたまらなかった。
「でも僕、恋さんにあげる気ないから。僕が、琉さんに、好きって言ったらどうなるかなぁ?」
「何言って……」
「言えないとでも思ってるの?僕は君とは違う。いつだって言える。まあ今は言わないけどね。」
恋の心臓はうるさいくらいに鳴っている。
「僕が琉さんのこと、君から奪ってあげるよ。」
そう言って笑う小雪はいつもの可愛い小雪ではなかった。
(貴也くんの勘、当たった……)
恋はそんなことを考えてしまった。
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