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episode.121 発表、再びにしおりをはさみました!
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episode.121 発表、再び
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〜恋side〜
4月15日
「……ん?」
恋は自宅のリビングで1人、声を上げた。
そんな恋の視線の先にはテレビで流れるニュース。
『俳優の木之本翔也さんが、一般男性との婚約を発表されましたが、近いうちに挙式を挙げることがわかりました。』
混乱する恋をよそに、ニュースは続く。
『木之本さんの所属事務所によりますと、結婚式は仲のいいご友人や身内だけを集めて行うそうで、結婚届はお相手男性の成人を待って出すとのことです。』
『いやぁ、素敵なニュースが舞い込みましたね。』
『そうですね。』
テレビの中では笑顔で出演者たちが会話している。
そんな時、恋のスマホが震える。
明希からの着信だ。
『んねぇ!なんで翔也さんは毎回、俺に言う前にこうやって報道しちゃうの?!』
「知らんし……」
『もー……そうなるかも、とは聞いてたけど……決定したとか知らなかったし……』
「これから忙しくなりそうだな。」
『……どういうこと?』
「え……式場見に行ったり、いろんなこと決めなきゃだろ?」
『あー!そっか!!』
完全にテンパってるな、などと恋は思いながらクスクス笑う。
「よかったね、明希。」
『ん?』
「翔也さんと、上手くいってさ。ちゃんと、好きになれる人できて、好きになってもらえて。」
そう言う恋の顔はとても優しい笑顔だった。
『うん……ありがと……恋のおかげだし。』
「俺なんもしてない。」
『してるの!……んもう!恋早く記憶戻れー!』
「はいはい。でも結構戻ってきてるんだよ?」
『どんくらい?』
「旅行行ったのは思い出したし……明希と翔也さんが初デート行った日のことも思い出したし。」
『てことは、10月までくらいのことは思い出したのか。』
「うん、そう。」
『俺の誕生日は?』
「うーん、その辺はまだ……」
『そっか。早く戻るといいんだけどなぁ……』
「……戻ったら、言ってみようかなぁ……好きって……」
『……!!そうしなよ!!絶対その方がいいって!』
「そ、うなの?」
『事故に遭う前の恋も、琉さんに気持ち伝えようとしてたんだもん。だから、絶対伝えてみた方がいいよ。』
「ふーん……じゃあ、記憶戻ったら、伝えてみる……」
『うんうん!そうしなー!』
明希は自分のことのように嬉しそうにそう言った。
その後しばらく、2人で話をして電話を切った。
「好き……」
口に出してみると、それは先ほどより明確な気持ちになった。
赤津のことが好き。
その気持ちは、膨らんでいくばかりなのだった。
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