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18歳以上ですか?
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*17
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〜紘side〜
「千秋も疲れただろ?少し寝るか?」
ホテルの部屋に入り、荷物を適当に置いた紘は千秋にそう声をかける。
「紘さんも寝る…?」
「うーん…とりあえずシャワー浴びようかなって思ってるけど。」
「僕もシャワー浴びます。」
「じゃあ先入っておいで。」
「でも…」
「それとも一緒に入る?」
わざとそういえば、千秋は頬を真っ赤にして、ぶんぶんと首を振る。
そんな千秋を見て、可愛いなぁ、などと思い、紘は微笑む。
「冗談冗談。ほら、行っておいで。」
そう言って頭を撫でれば、千秋はこくりと頷いて浴室に向かう。
紘はベットに腰掛け、ふぅ、と一息ついた。
ここ最近の変化は、千秋にとってはもちろんだが、紘にとっても新鮮なものだった。
千秋は10歳までの間はおそらく家族と楽しく過ごしていただろう。
だが紘にはそういう時間は全くなかった。
物心つく前から、父や母と過ごすことはなかったし、いつもそばにいたのは執事の男だけ。
寂しいなどと思ったこともない。
だが、最近はどうだろうか。
千秋と毎日寝食を共にし、たまに琉や翔也と自分の恋人たちの話をする。
恋や明希も交えて6人で食事をしたり
今日に至っては琉と翔也の兄弟とまで関わった。
昔の紘ならありえなかった。
また、こんなに安心して過ごすことも
表情を緩めることも
昔の紘には、ありえなかったことだ。
「俺もすっかり千秋に絆されたかな。」
絆された、などという言葉は少し違う気がしたが
昔の自分を思えば、それで合っている気もした。
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いつの間にか、ベットで寝ていたらしい。
紘は目を開けて時計を見る。
時間はまだ17時半。
ここに来たのは17時前だから、30分ほどは寝ていたらしい。
なんだかんだ自分もしっかり疲れていたのだと知り、苦笑する。
そしてふと、横を見れば、千秋が寝ていた。
男とは思えないような綺麗な顔立ち。
長い睫毛に、整った唇。ふわふわとした髪の毛は、触り心地もいい。
「ひろさん…」
撫でてやればそう呟く千秋が、愛しくて仕方がない。
千秋を起こさぬようにそっとベットを降りる。
浴室に行き、軽くシャワーを浴びて、さっさと出る。
なぜこんなにも急いでいるのかよくわからないが、千秋が起きた時にそばにいてやりたいなどと考えている自分がいる。
本当に、自分でも信じられない。
何にも興味もなかったし
烏沢の家にいた時は、千秋にすら興味などなかった。
だが冷たくするのは忍びなくて、父や叔父の真澄などのように、千秋をモノとして見たことだけはなかった。
いつも何かを我慢したように、叔父に従う千秋が、自分に重なっていたのも事実。
そんな千秋が、恋や明希と一緒に笑っているところを見るときほど、紘が嬉しいことはなかった。
そして自分もまた、いつの間にか笑えるようになっていることに驚いていたりもする。
それもこれも、一体何が始まりだったのか。
考え始めればそれは、恋の両親の事故からなのだろう。
縁とは不思議なものだ。
「おやすみ、千秋。」
千秋の隣に再び横になった紘は、そう呟いて、自分も瞼を閉じる。
1時間半後には、また、みんなで夕食を食べることを考え、心が温かくなるのを感じた。
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