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*67
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〜明希side〜
恋の言う通り外に出てきた明希はどうするべきか考えた。
そしてまず、最悪の事態を想定して琉に連絡を入れることにした。
一旦席に戻り、スマホを手にする。
もんぶらんのトークルームを開き、そこに迎えに来てほしい、と連絡を入れる。
すぐに既読がついたのは翔也の方で、軽く事情を説明すると、琉を拾って行く、という返事が返ってきた。
(あとはどうやってあそこから連れ出そう…)
「明希、恋遅くね?どうしたん?」
友人の1人がそう声をかけてきた。
「あ、えっと…なんかお腹痛いって…」
「え、大丈夫なの?」
「えっと…知り合い呼んで迎えに来てもらう。悪いけど恋来たら帰るね。」
「それは全然いいけどさ!大丈夫そう?」
「多分…少し調子悪いだけだと思うから。」
「そっか。こっち戻ってくるのかな。」
「うーん…」
どう説明しようかと明希が頭を悩ませていると、入り口の扉が開いた。
「お、傑じゃん!お前おせーよ!」
「悪い悪い。ちょっとバイトが…」
明希が入り口の方を振り返り、傑と目が合う。
自然と体が強張り、動けなくなった。
「今日は恋も来てたんだけど、なんか調子悪いみたいでさー。お腹痛いってトイレ籠ってんの。」
「恋が…?」
傑はなぜか眉をひそめる。
そして立ったままの明希の方をちらりと見て、また目をそらす。
「傑も明希も座れよ?」
「…あー、ちょっとさ、明希と話してきていい?」
「いーけど、明希、恋は大丈夫?なんなら俺見てくるけど。」
傑の言葉に友人がそう言う。
「だ、大丈夫!!このまま俺見てくるから!」
「そ?ならいーけど。」
あの場に行かれては困ると思い、そう言う。
本当は傑と2人になりたくないが、傑から言われては仕方ない。
明希と傑はテーブルを少し離れる。
「…あのさ…」
話を切り出され、明希はピシリと固まった。
「…今まで…ごめん。」
だが、傑が発した言葉は明希の予想とは全く違い、また、俯いていて表情も読めない。
「本当に最低なことしたって、わかってるけど…謝りたくて…今日は明希が来てるって、聞いて…それで…」
傑は少し顔を上げ、明希を見る。
その顔は本当にバツが悪そうで、どうやら本心らしい。
「で…その、これは許すとか許さないとかの前に、聞きたいんだけど。」
傑にとっては、明希がどう思っているかは1番聞きたいはずなのに、それより優先なことは何なのだろう、と明希は不思議に思い、今まで何となくそらしていた目を合わせる。
「恋が調子悪いって、本当?」
「え…?」
まさかそれを突っ込まれると思わなくて、明希は驚く。
「あのさ…その、違ったらいいんだけど…なんか面倒なことになってたりとか…いや…やっぱり何でもない。」
傑は何か知っているのだろうか。
そういえば、さっきも恋がトイレに籠っていると聞いて眉をひそめていた。
明希は、どうしようか少し迷い、傑に頼ることにした。
「傑っ…助けてほしいっ…!」
「え…?」
「そのっ…恋、今トイレでっ…れ、レイプ…されてるかもしれなくて…俺、一緒にいたのに…何もできなくて…恋に言われて…外出てきちゃって…」
明希はそう言いながらどんどん不安になってきて、涙をこぼした。
「一応っ、恋の、彼氏にっ…連絡して…迎えに来てくれるんだけどっ…俺じゃ助けられないからっ…傑っ…助けて…っ…」
「わかったから、わかったから落ち着け。な?お前は悪くないって。大丈夫だから。」
ひっく、ひっく、と嗚咽を漏らしながら泣く明希の頭を優しく撫で、背中をさすってくれる傑は、前とは別人のようだ。
「トイレどこ?」
「店、の、奥っ…」
「明希、恋と俺と、自分の荷物持ってきて。そのまま裏から出よう。な?」
「ん…」
明希はコクコクと頷く。
「あいつらには適当に言っとけばいいから。なんか言われたら、傑が今度埋め合わせするって言ってたって言っとけ。」
「わか、た…」
傑はそのままトイレに向かい、明希は言われた通り席に戻り、3人分の荷物を手にする。
「やっぱ帰るって?」
「うん。」
「傑は?」
「なんか、用事できたから裏から帰るって…」
「あいつ何しに来たんだし。」
何も疑う様子もなくケラケラと笑う友人たちに明希はホッとした。
「傑に埋め合わせしろって言っといて。恋と明希もまた会おうぜ。」
「うん。ごめんね。恋にも言っとく。」
「全然。お大事にって伝えて。」
そのテーブル以外にも適当に挨拶をしてその場を離れ、トイレに向かった。
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