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*73
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〜恋side〜
いつの間にか眠ってしまった恋が目を覚ましたのは、インターフォンの音だった。
重たい体を何とか起こし、玄関に向かう。
扉を開けると、そこにいたのは千秋だった。
「おはよ…って…大丈夫?!」
「ん…?なにが…?」
「なにがって、その顔だよ。目、真っ赤だよ?」
「…うん…ところで…何の用?」
「え…今日は、明希の誕生日プレゼント買いに行こうって話してたの…忘れちゃった?」
そういえばそうだった、と思い出し、恋はため息をつく。
「…ごめん…それまた今度でもいい?」
「それは構わないけど…恋、何かあったの?」
千秋は心配そうな顔をして恋を見つめる。
「っ…琉、さんの…こと…拒否…しちゃった…っ…」
口に出すと、止まっていた涙がまた溢れてきた。
「え?!どういうこと?と、とりあえず中入ってもいい?」
「っう、うぅっ、う、ふぅ…うっ…」
千秋と話したいのに、声は嗚咽に変わる。
思わずぎゅっと抱きつくと、千秋は少し驚いたみたいだったが、ポンポン、と背中を撫でてくれた。
「大丈夫だよ。大丈夫だから、ゆっくり息吸って。ね?とりあえずお家入って、座ろう?」
千秋に言われて、泣きながら中に入り、ソファに腰掛ける。
「ゆっくりでいいから、何があったか教えてくれる?」
「っ…ぅ、きの、う…ど、そかい、でっ…ど、きゅう、せい、にっ…む、りやり…されてっ…こ、わくて…きもち、わ…くて…」
泣いているせいで何度もつっかえ、言葉がまとまらず、伝わったかどうか怪しい。
それでも涙は止まらなくて、恋にもどうしたらいいのかわからなかった。
「そっかそっか…怖かったね。でも、なんで琉さんの話が出てくるの?」
「っう、うっ…ふっ…うぅっ…」
答えなければと思えば思うほど、言葉は出てこない。
「えーと…無理やりされたのと、重なっちゃって、怖くなっちゃった…とか?」
そう言われて、恋はこくり、と頷いた。
「それ、にっ…き、たない…おれ…さわっ、たら…だめ、だからっ…」
「汚くないよ!」
「でもっ…おれっ…」
「恋は悪くないんだから。浮気したわけじゃないんだし、汚くなんかないよ?今はちょっと、琉さんも怖くなっちゃっただけだよ。大丈夫だよ。」
「っう…っ…ううっ…でもっ…きのうっ…りゅ、さんのこと…つきとば、しちゃって…それから、顔…あわせてなくてっ…」
「恋…」
「きらわれ、てたら…どうしようっ…ひとり、はやだっ…やだよぉっ…」
ボロボロと次から次に涙が溢れてきて、千秋がぎゅっと抱きしめてくれた。
「ほら、僕は怖くない?」
「ふぇ…?」
「僕のことも怖い?」
「こ、わくない…っ…」
「明希は?」
「たぶん、へいきっ…」
「じゃあ、琉さんのことも、きっと平気だよ。大丈夫。きっと大丈夫だから。嫌われてなんかないよ。」
「う…うぅ…千秋っ…ち、あきっ…」
「よしよし、怖かったね。いっぱい泣いて、忘れちゃいな?琉さんにぎゅーってしてもらって、忘れちゃったらいいよ。ね?」
「うんっ…うん…っ…」
そのまましばらく千秋に抱きついて泣き続けた。
明希の誕生日プレゼントはまた今度、と千秋は言って、昼頃に帰って行った。
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