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〜明希side〜
10月24日
「ん…」
「おはよう、明希ちゃん。」
目が覚めてすぐ、視界に入ってきたのは、優しい顔で微笑む翔也だった。
「お誕生日おめでとう。」
「あ…」
すっかり忘れていた自分の誕生日。
つまり今日は
「やっと明希が俺のって証がもらえる。」
朝一番でそう言われ、明希の頬が赤く染まった。
こういう時だけ、名前を呼び捨てにするのがまたずるい。
「今日は最高の1日にしてあげるよ。」
翔也はそう言って明希の頭を撫でた。
ベットから出て、朝ごはんは外に食べに行く、というので明希は着替えた。
「よし、行こうか。」
薬指には結婚指輪がはまっていて、それを見た明希の頬は緩む。
翔也は黒縁のメガネをかけ、黒いジャケットに白いラフなTシャツ、胸元にはシルバーのネックレス、ジーンズでいつも通りおしゃれだった。
一方明希は七分袖のボーダーのシャツにジーンズ。
翔也の隣に並ぶときはいつも服装が気になった。
「明希ちゃん可愛い。」
でも、翔也が毎回そう言ってくれるから、いいのかな、と思っている。
「今日はそれ履いてくれるの?」
「はい!」
明希が手に取った靴は翔也から初めてプレゼントされた、白に紺の線が入ったスニーカー。
大切にしたい思いが強すぎて特別な日にしか履いていないものだった。
「靴くらいいつでも買ってあげるのに。」
「これは特別なんです。初めてもらったものだから…」
「もう…可愛すぎてどうにかなる。」
玄関でそう言って抱きしめられ、顔が熱くなる。
「よし、ご飯食べに行こっか。」
翔也はそう言ってパッと腕を話すと明希の手を握った。
そのまま車に乗り込み、出発する。
「どこに行くんですか?」
「俺のオススメのお店。」
今まで、何度か翔也と出かけたことはあるが食事はあまりしたことがなかった。
たどり着いたのは、"LUNA"という看板がかかった、おしゃれな雰囲気のカフェだった。
「お久しぶり。」
慣れた様子で若いマスターに挨拶した翔也に手を引かれて明希は店に入った。
「木之本さん。お久しぶりです。そちらは奥さん?」
「ははっ!そうだよ。俺の愛するお嫁さん。」
明希は翔也の言葉に耳まで真っ赤にして、それでもマスターにぺこりと頭を下げた。
「ふぅん…木之本さんが気に入るのもわかるなぁ。モーニングでいいですか?」
「うん。二つ頼むよ。一つはオレンジジュースにしてくれる?」
「わかりました。」
マスターが手際よくモーニングセットの、トーストとスクランブルエッグ、ウインナーにサラダ、コーンスープを出してくれる。
「いただきます。」
明希は目の前に出てきた美味しそうな料理に顔を綻ばせ、手をあわせる。
翔也とマスターは、そんな明希を見て微笑んだ。
「…ん…美味しい…!」
「それは良かったです。」
「あの、翔也さんはよくここに来るんですか?」
「昔は毎朝来てましたよ。今は奥さんの手料理があるからか来ませんけどね。」
マスターはそう言ってクスクスと笑う。
「変な話しないでよ?」
「変な話っていうと…あれですか、荒れていた頃の木之本さんの話ですか?」
「だからしないでってば。」
明希はよくわからなくて首を傾げる。
するとマスターが、昔の翔也の話をしてくれた。
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