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〜恋side〜
11月2日
それから恋も琉も、仕事が忙しく、夜だけは一緒に寝るような日々を過ごした。
珍しく仕事が休みの日に出かけて行った琉の夕飯を用意していたとき、恋のスマホが鳴った。
琉「今日遅くなるから夕飯いらない。恋はちゃんと食えよ」
メッセージを見て、恋は軽く返事を返す。
やっと被った休みの日に、琉がいないことを寂しく思いつつ、琉にも付き合いがあることを理解している恋は、夕飯の半分にラップをかけて冷蔵庫にしまった。
「いただきます。」
やはり1人の食卓は寂しい。
テレビもつけず、黙々と食べ進めて、食べ終わるとソファに座ってテレビを眺めた。
特に内容も頭に入ってこないが、何もしていないよりはマシな気がした。
そんなことを続けて、時計が23時を回った頃だった。
ピンポーンとインターフォンが鳴る。
琉は鍵を持っているはずだから、インターフォンを鳴らすはずがない。
(こんな時間に誰だろう…?)
恋は不思議に思いつつも玄関に向かい、扉を開けた。
「え…琉さん?!」
「ごめんね恋くん、琉が珍しく酔っ払っちゃって。」
そこにいたのはかなり酔っ払った琉と、それを支える翔也、そして恋の知らない女の人だった。
「赤津さん、社長にすごく飲まされてて…」
恋は女を見て固まるしかできない。
「とりあえず琉運ぶよ?」
「あ、はい、お願いします。」
翔也の言葉にハッとして、寝室まで連れて行ってもらう。
女は玄関で待っていた。
「琉、家で飲むときはいいんだけど、外で飲むと案外酔うんだよね…」
そう言って苦笑いする翔也に、恋は琉と会った時も琉は酔っていたな、と思う。
「恋くんと会った時も吐いたんだって?本当にたまにあるんだよね、そういうの。」
翔也はまた笑う。
「わざわざありがとうございました。」
玄関に戻り、翔也と女にそう言う。
「いえいえ。恋くんあとよろしく。」
「お邪魔してすみませんでした。」
女から琉のカバンを受け取り、2人を送り出す。
扉が閉まると、恋は寝室に戻った。
「琉さん、着替えてくださいよ。」
「んー…?恋…?」
「ほら、着替えて水飲んでください。」
「んー…いいから来いよー…」
琉はそう言って恋をぎゅっと抱きよせる。
「ぅわっ!ちょ、琉さん!」
そのままベットで、恋を抱きしめたままスヤスヤと寝息を立てる琉。
恋も仕方ない、と思い、もぞもぞとしながら安定する位置を探す。
ふと、吸い込んだ香りに、琉の匂いではないものが混じっていて、恋は動きを止めた。
(香水…)
甘ったるい香水の匂い。
琉や翔也は香水をつけないから、おそらく一緒に飲んでいた男性か、もしくは女性のものだろう。
そしてふと、先ほど会った女から、同じ香りがしたことを思い出す。
香水が移るほど、ずっと近くにいたのかと思うと、なんだかモヤモヤとした。
(いやいや、浮気とか、そんなんないから。うん。)
心の中でそう言って、恋は目を閉じ、やってくる睡魔に身を任せた。
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