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〜恋side〜
「頭いてぇ…」
翌朝、完全に二日酔いの琉がそう呟く。
「スープ作っておきました。」
「…懐かしいな。初めて食べた恋の手料理これだもんなぁ。」
琉はそう言って目を細める。
恋はそれを見て、嬉しくなるが、なんとなく、昨晩のモヤモヤが残ったままだった。
「琉さん、今日は夕飯どうします?俺、遅くなりそうなんです。」
「んー…俺も撮影遅いからいいや。食べて帰る。」
「わかりました。」
そして、こういう時に限って、こうしてお互い忙しかったりする。
琉も恋も出かける用意をして、今日は恋の方が先に出る。
「じゃあ、戸締りよろしくお願いします。」
「おう。恋、ちゅー。」
「はい?」
「行ってきますのちゅーは?」
「まったく…何言ってるんですか。俺もう行きますからね。」
えぇー、と言っている琉を無視して家を出る。
今日は、12時から19時まで働いた後、発注の仕事があった。
まだ時間は10時だが、早めに行って朝のうちにできることを済ませておきたかった。
Rに向かって歩きながら、先ほどは冷たかっただろうか、とふと思う。
琉に、恋が自分からキスをすることはほとんどない。
だから、あのように断るのはいつも通りといえばいつも通りなのだが、言い方が冷たくなってしまった気もした。
(…いや、まあ、大丈夫だろう。)
自分に大丈夫だと言い聞かせて、恋はRに入る。
「おはようございます。」
「おはよう!」
店長や、社員に挨拶し、着替える。
(…よし。集中しよう。)
昨晩のことも含め、余計なことは考えないようにしようと思い、恋は仕事に集中した。
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22時
「お疲れ様でした。」
「お疲れ!恋くん遅くまでごめんね!!」
「いえ。明日休みですし大丈夫です。」
「本当に助かった!」
思ったより忙しく、発注を始めたのも遅くなってしまい、その結果帰宅も予定よりかなり遅くなってしまった。
琉はもう帰ってきただろうか、と考えながら帰り道を歩く。
そして、信号を待っていた時だった。
恋の目に飛び込んできたのは、琉が、昨晩の女と仲良く歩いている光景。
今日は、撮影で遅くなるから夕飯を食べてくるとは言っていた。
だから恋は、てっきり翔也あたりと食べるのだと思っていた。
それが、今、琉の隣にいるのは女なのだ。
昨晩と同じ、モヤモヤとした感情が心を埋める。
でも、琉にだって仕事の付き合いはある。
当然、恋の職場にも女性はいるし、その女性と食事をしたりすることだってある。
それと同じだ、と自分に言い聞かせると、少しモヤモヤが落ち着いた。
いつの間にか琉はどこかに行ってしまっていたが、恋はまた歩き出す。
家に帰った時、琉はまだ帰ってきていなかった。
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