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〜明希side〜
12月7日 23時
「…よし。」
明希は自分の頬を軽くペチン、と叩いてなんとなく気合いを入れる。
旅行について翔也に話してみようと思っているのだ。
恋は許してもらえたというし、千秋も今日話すと言っていた。
そもそも、紘はあまり反対するとは思えない。
やはり翔也が一番心配するだろう。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
「起きてたの?横になっててよかったのに。」
優しく頭を撫でてくれる翔也に、少し緊張が緩んだ。
「いや…あの…話したいこと、あって…」
「ん?急用?どうしたの?」
「急用ってわけじゃ、ないんですけど…」
やはり、なんとなく言いにくくて俯いてしまう。
「とりあえず座ろっか?」
ニコ、と笑ってそう言う翔也に頷く。
2人でリビングに入り、ソファに腰掛ける。
翔也は何も言わないで、明希が話を始めるのを待ってくれていた。
「あの…今度、恋と千秋と旅行に行きたいなって思ってて…」
「うん。」
「それで…3人だけだと、俺たちも心配だから……傑に、一緒に行って、もらおうかなって、思って…」
不安から、最後は声が小さくなってしまった。
俯いて、翔也の返事を待つ。
(…やっぱり…ダメかな…?)
「うーん…いいよって、言ってあげたいんだけど…やっぱり心配だなぁ。」
そう言われて、ぎゅっと抱きしめられる。
「怖くない?」
「はい…」
「恋くんや千秋ちゃんと出かけたいのはわかるし、3人だけだと不安っていうのもわかる。それで同い年の傑を選ぶのもわかるよ。」
優しい声でそう言われると、やはり安心した。
翔也は頭ごなしに反対する気はないんだとわかる。
そっと体を離されて、翔也と目が合う。
「でもやっぱり俺としては心配。」
翔也は、明希が傑と再会した日のことを知っている。
あの姿を見ている以上、簡単に傑を許すこともできないだろうし、明希を心配するのも当然のことだった。
「だから、旅行の前に、4人でどこか出かけてみて、それで大丈夫だったらいいよ。」
「本当ですか?」
「うん。明希ちゃんがやりたいことはやらせてあげたいし、でもいきなりお泊まりとか心配だし。とりあえず1日様子見かな。」
「ありがとうございます!」
「ぉわ!」
許してもらえたことが嬉しくて、翔也の胸に飛び込む。
しっかり受け止めてくれた腕に包まれて、翔也の胸に顔を埋めた。
「旅行はどこに行くの?」
翔也が頭を撫でてくれて、それに浸っているとそう聞かれた。
「まだ決めてなくて…冬休みに行くか、春休みに行くかも決めてないんです。」
「そっか。決まったら教えてね。」
「はい!」
「そんなに嬉しそうにされると嫉妬するなぁ。」
「へ?」
「同年代で出かけるのが楽しいのはわかるけど…俺も明希ちゃんと旅行とか行きたいし。」
そう言われて、チュ、と額にキスをされる。
ポポポッと明希の頬が赤く染まり、恥ずかしくて、翔也から目をそらした。
「ふふ、可愛い。大学卒業したら絶対子供作ろうね?」
「こ、子供…」
また顔を赤く染めた明希を見て、翔也はクスクス笑う。
「あー、でももう少し2人を堪能するのもいいかなぁ。」
まだ新婚だし、と付け加えた翔也が、明希を見てにっこり笑った。
「こ、今度…休みが、取れたら…デート、しましょうね…旅行は、無理でも…お出かけしたい、です…」
「…もー、可愛いなー。そんなこと言われたら無理して休みもぎ取ってきちゃうぞ。」
「あ、だめだめ!だって俺、翔也さんが仕事してるのもかっこよくて好きだから…あっ…」
つい、口が滑って、ものすごく恥ずかしいことを言った気がする。
明希は口に手を当てて、しまった、という顔になった。
「うーん、そう言われると迷うな。明希ちゃんにかっこいいって思われるか、明希ちゃんと過ごす時間をとるか…」
真剣に悩み始めた翔也を見て、明希は思わず吹き出した。
「もちろん仕事は頑張るけど、今度1日出かけようね。」
「はい。」
翔也に頭を撫でられて、頬が緩む。
「ふふ、嬉しそうな顔しちゃって。これ見たら嫉妬も飛んでくね。」
「も、もういいですから!お風呂入ってきてください!」
恥ずかしくてそう言って、翔也を立たせて背中を押す。
「はいはい。明希ちゃん。」
「なんですか?」
「愛してるよ。」
明希がぽかん、としている間に、翔也は浴室に向かった。
「な、なにそれ…ずるい…」
いつまで経っても慣れないな、と思いながら、明希は緩んだ口元を手で押さえた。
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