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〜恋side〜
12月10日
「あーっ、無理だー…」
「どうしたの?」
琉の誕生日まであと15日。
恋はRの休憩室でうなだれていた。
声をかけてきたのは琉とのことを知っている女性社員、松田だ。
「あっ、松田さん。婚約者…琉さんに贈るプレゼントが決まらなくて…今月誕生日なんですけど…」
「プレゼントー?きゃー可愛いっ!」
「1つは決まったんですけど、それだけじゃ味気ないかなと思って…」
「ん?宝石?」
スマホを覗き込んだ松田がそう言う。
「はい。好きな宝石を選んで、それをアクセサリーにしてくれるって…」
「結構安いんだね!」
「安いお店を探しました。」
「それで、なに作ってもらうの?」
「アクセサリーっていうより、チャームみたいな…それをお願いしようと思うんですけど、俺のセンスじゃデザインなんてできなくて…」
「なるほどねー、それで休憩時間使って悩んでたわけだ。」
サイトに載っているデザイン例を見ながら、考えてはいるもののなかなか納得いかない。
「なにに使うの?」
「えーと…こんな感じで、使ってもらおうかなって。」
「…おー!!なるほどね。それなら、こんな感じはどう?」
手近にあった裏紙とペンで、松田がデザイン画を描いてくれた。
「わ、すごい。これ使っていいですか?!」
「どーぞどーぞ!」
「ありがとうございます!助かりました。」
「いえいえ。ところでいつ結婚するのよ?」
ニヤニヤとしながら松田がそう聞いてくる。
「いつ、ですか…わかんないです。今は琉さんが忙しくて…」
「あー、最近本当によくテレビ出てるよね。今度の映画も主演だって?」
「はい。今は次のドラマの撮影で忙しくて…」
「そうなんだ。挙式はあげなくても、婚姻届だけ出しちゃえばいいのにー。」
「松田さん楽しんでます?」
「もちろん!!だってあの恋くんが結婚って…いやぁ、信じられないわね。」
恋が働き始めたのは16歳の頃で、その頃松田は別の店舗にいてヘルプで来ていた。
その後この店舗に異動になり、今は一緒に働いている。
「まだ小さかったしなぁ。」
「それは関係ないですよね?」
「あはは!とにかくさ、可愛かった恋くんが結婚するほど大切な人を見つけたんだって思ったらねえ?やっぱり楽しくなっちゃうじゃない?」
松田は本当に楽しそうにそう言う。
「この前なんか食事に来てたもんねー。」
「え、松田さんいましたっけ?」
「キッチンにいたよー?会計の時チラッと見た。よくあの変装だけでバレないね。」
「あ、それは俺も思います。でも街で声かけられないですから、まさか、って思われてるんでしょうね。」
「そうかもねー!」
そのあとしばらく、琉の話をして、休憩が終わった恋は仕事に戻った。
松田と琉の話をするのは、なんだか母親と話しているような気分で新鮮で楽しかった。
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