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〜琉side〜
「寒かったな。体冷えたろ?」
「だいじょぶ、です。」
帰宅して、まだ鼻をすんすんとならして、ぐすぐす泣いている恋を見ると、本当に愛おしい。
結婚しようと決めた時から、プロポーズはこの日と決めていた。
そのために指輪も準備したし、どこでプロポーズするかも考えていた。
まさか大泣きされるとは思わなかったが、それでも恋が喜んでくれたことはよくわかった。
「あっ、そうだ…」
何かを思い出したように、パタパタと先にリビングに入る恋を追う。
「どうした?」
声をかけると、振り返った恋が手に紙袋を持っている。
「お誕生日…おめでとうございます…」
恥ずかしそうに、そっと袋を差し出してくる。
「ありがとう。開けてもいい?」
そう聞けばコク、と頷いたので、ソファに腰掛けて紙袋を開く。
「ん…これって…」
中に入っていたのは、黒い革でできた台本カバー。
「前に…生のまま台本を持ってるの見て…でも琉さんは台本大切にしてるし…毎日使えるものがいいかなって…」
ペンも一緒に持ち運べるようになっていたり、小さなポケットも付いている。
そして裏にはRyu.Aと刺繍が施されていた。
「もしかしてこれ…恋の手作り?」
「はい…家庭用ミシンでも、アタッチメントとか硬い針とか使えばできるってネットで見て…」
ミシンを使っていたのはこれか、と思い、ものすごく嬉しくなる。
睡眠時間を削ってまで自分のプレゼントを用意してくれていたことが嬉しすぎて、使うのがもったいないとさえ思えてしまう。
「あれ、まだ何か…」
よく見るともう一つ、小さな袋が入っている。
それを取り出してそっと開けてみる。
その中に入っていたのは、青い宝石とシルバーのバラのチャームがついたブックマーク。
「ラピスラズリとタンザナイトっていう宝石が…今日の誕生石で、バラも誕生花だったので…宝石は、タンザナイトを選びました。」
台本のブックマークとして一緒に使えるということだろう。
「…やばい…嬉しすぎて使えない。使いたいけど飾ってたい。」
「なんですかそれ…」
恋はクスクスと笑う。
「それ、同僚の人がデザイン考えてくれて…バラが誕生花だって教えてくれたのもその人で…」
「そっか。ものすごく嬉しい。ありがとな。」
「気に入ってもらえてよかったです。」
「はー、もう、本当に恋が好きすぎてやばい。」
「俺も…琉さんが好きすぎて、もう離れられないです。」
恋の言葉に、琉の中の何かが沸き立つ。
どうしようもないくらいに恋が愛おしい。
「あっ、そうだ、ご飯食べましょ。グラタン作ったんです。」
「…うん。」
恋の手料理を食べたい気持ちも大きいので、今すぐ抱き潰しそうな衝動を抑える。
「ケーキは食後に出しますね。」
「おう。ありがと。」
嬉しそうに微笑む恋を見ると、幸せを感じる。
「あ、式についても決めていこうな。俺が忙しくてなかなかできないかもしれないけど…婚姻届は近々出そう。」
「は、はい…」
恋は返事をしながらカァァと顔を赤くする。
恋からもらった誕生日プレゼントももちろん嬉しかったが、琉は恋にプロポーズを受けてもらえたことが、一番のプレゼントだな、と、そう思った。
もちろんその日は、甘く長い夜を過ごした2人だった。
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