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*182
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〜傑side〜
「傑!千秋!走ってぇぇぇ!!」
「は?」
しばらく話しながら待っていた傑と千秋だったのだが、明希の声が聞こえて振り返る。
すると、なぜか走っている恋と明希、そしてその後ろから追って来る男。
「…何があったらそうなんだよ…!」
傑はため息をつき、立ち上がる。
「走んなくていいから。」
そして千秋にそう言うと、こちらにやって来た恋と明希を庇うように前に立つ。
「おい、にーちゃん、どきな。」
「どうしたんですか。」
できるだけ柔らかい表情で声をかける。
「ちょっと声かけたらこいつら俺のこと蹴りやがったんだ!」
「嘘つけ。こいつらナンパの対処法もまともに知らないやつだぞ。」
「…それ庇ってんのか貶してんのかよくわかんないんだけど。」
後ろにいる恋がそう突っ込んで来たが、それは無視する。
「お前がなんかしたんじゃねえの?お前こいつらに指一本触れてないって言えんのか?」
人懐こい笑顔を冷酷な顔に変えれば、大体の相手は驚いてひるむ。
「言っとくけど、こいつらに手出したらお前やばいからな。確実に潰されんぞ。」
彼氏の琉たちももちろんだが、なにせ明希の父親はUHグループ社長、傑の父親だって権力がないわけじゃない。
さらに恋たちの知り合いといえば、刑事、医者、弁護士、ととにかく幅広い。
敵に回してはいけない相手なのは、傑も身をもって知っている。
「脅しも大概にせえよ!」
「…脅し、ねぇ…明希、お前父親の写真は?」
「へ?父さんの写真?」
「持ってる?」
「あるけど…」
明希が開いた写真は、結婚式の時のもの。
明希、翔也、明利、浩也が写っている。
「これ見ても脅しって言える?」
少なくとも、明利と翔也の顔を知らないとは言わせない。
浩也が警視正であることを知る由はないが。
男の顔がみるみるうちに青ざめる。
それもそのはずだ。間違いない権力者と、芸能人。
それも見る限りでは確実に家族。
男の表情を見るに、明希に何かしたのだろう。
「で?」
「す、すいません…」
男は震える声でそれだけ言うといなくなっていく。
千葉のテーマパークまできて、あのようなガラの悪い男がいたのは想定外だった。
「傑強いな。」
「てかあの写真がなんなの?」
「お前の父親と翔也さんのことを知らない日本人はほぼいねえよ。」
「あ、そういうことか。」
「これなら傑がいたら旅行に行けそうだね。」
恋と千秋もホッとした表情を見せていて、良かった、とは思う。
だが、買い物に行かせただけでこれか…と傑は頭を悩ませた。
「とりあえずさ、お前ら単独行動禁止な?」
「なんで?」
「お前らは自分たちの無防備さを理解してない。」
「それ琉さんたちも言うんだけど。」
「それな!!」
「僕も言われた。危機感がない、って。」
言われるのも無理はない。
3人は自分たちがいかに可愛いか理解していない。
油断と隙だらけだ。
「なんにしても、俺から離れんな。トイレ以外で俺と離れたら旅行行けなくなると思えよ。」
「え、それは困る。」
「傑にくっついてればいいの?」
「…明希、それは別の意味で旅行に行けなくなる。」
明希が傑のコートを掴んでいるものだから、傑はため息をついた。
これでは嫉妬されてもおかしくない。
「えぇ?」
「物理的にくっつけって意味じゃないから。1人になるなってこと。あ、3人でもダメだから。とりあえずお前らだけになるな。」
「わかったー。」
「はーい。」
恋と明希の気のない返事で、さらに不安になる傑だった。
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