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あの頃の記憶にしおりをはさみました!
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あの頃の記憶
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ジャーーーー
朝起きて、歯を磨いて、鏡を見る。そんな何気無い日常に1つ疑問が浮かんだ。
「このキズなんだっけな...」
タオルで顔を拭っていると、ふと右こめかみあたりの切り傷が目に入る。それは先ほどできたようなものではない。もう何年か経っている、そしてこの歳まで残るケガ。
少し深く切ったのだろう。傷口はケロイドとなって、俺のこめかみにしっかりとその存在を主張していた。
そういえば小学生の時に...。
誰かを庇ってケガを負ったような気がする。今でこそそこらにいる大学生のにーちゃんだが、昔は柔道で賞を取ったりしていたなと思い出した。そのせいか正義感が強い子供だった俺は、いじめなどが許せない性格であった。
今はもう柔道はやめているし、少々のいさかいをスルーできるスキルを持っていて、この歳でやっといらぬ正義感など持っても邪魔なだけであると悟った。
いじめられっ子。俺のクラスには、女のような顔をした小さく弱い男がいた。そいつは早々にいじめの標的となり、何者にも抗えずにいたのだ。内容は軽いものから、持ち物を壊したりなど、とにかく長期にわたった。
俺を動かす決定だとなったのは、暴力である。
一体誰であろうとも一方的な暴力など許されるはずもない。今でもそう思ってはいるが、昔は特に固執していたように思う。
数で弱いものをいたぶるなど、人間のすることじゃない。
ーーこいつよえーの!
ーーみんなで蹴っちまおうぜ
ちょうど柔道の帰りだった俺はその光景を目にしてしまった。寄ってたかって何してんだよ。かっこわりい。
ーーてめぇら恥ずかしくねえのかよ。弱いものいじめなんてよ
ーーっ!なんだお前先生に言う気か!
ーー...だっせぇ。
ああ、喧嘩したんだっけか。柔道を習っていた俺にとって、たかだか10のガキをのすなんて簡単だった。
しかし
ーークッソ!こいつ強えっ!
ーーそうだ!あいつをやれ!
ヒュッ
いじめられっ子に向かって何かが投げられる。アレは...カッターナイフじゃねえか!こいつらまじでクズだなこんなことまでしやがるとは!
なんの躊躇もなくいじめられっ子の前に飛び込む。一瞬ギュッと目を瞑ると、ピリッとした痛みがこめかみに走る。
赤。俺の血だ。
その時初めていじめられっ子と目が合った。
いつもあまり表情が読めないくせして、女みたいにまつげの長い目をかっぴらいて俺を見ていた。驚きだろうか。
ああ、血がやべえ
いじめられっ子から目を離して床を見るとすでに俺の血で赤く染まっていた。こいつをいじめていた奴らは、血を吹き出した俺を見て逃げ出したようだった。
全く最後までダセエな。
全身真っ赤な俺に向き直ったあいつは...俺に...
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