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8にしおりをはさみました!
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8
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「視ての通り、魂は火の玉のような形をしておる。そして、それ自体があと幾ばく、時間が残っているのかも指し示す」
見ろと言われて彼が指差した所には、魂が2つ、浮かんでいた。
一方は白くハッキリと、もう一方は地面すれすれに今にも消えてしまいそうなくらいに薄くなっていた。
「薄くなっている方、あれはもう間もなく消える」
「消えるって…成仏するって事?」
八代君は静かに首を横に振った。
「肉体から供給されていたエネルギーが無くなれば、魂は己の中に残ったエネルギーを消費する事でこの世に留まる。
魂は言ってみれば精神の塊じゃ。
その強弱は様々じゃが、この世と隔てるものが無くなれば、徐々にすり減っていく。
その過程で悪霊に転じる者も居れば、ああして消耗していくだけの者もおる」
「き、消えるとどうなるの?」
「…消滅する。輪廻の輪による転生も行われん。ただ、無に帰す」
幽霊にとっての死を意味するのだと、八代君は言った。
そんな…
この世からも、あの世からですら消えてしまうなんて。
「待て」
歩み寄ろうとして、腕を掴まれて引き戻される。
「離れるなと言うたじゃろう」
「でも…」
「お主が行ってもどうにも出来ん」
「けど…」
「……お主は本当に…分かった、来い」
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