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18歳以上ですか?
16にしおりをはさみました!
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16
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「おかえり」と出迎えた俺を見て、八代君は目を丸くしていた。
珍しい反応に、俺は少しだけ笑ってしまった。
向かい合うように座ると、八代君が窺うように薄紫色の瞳を向ける。
「大丈夫だよ、もうだいぶ落ち着いたから」
取り乱してしまった気恥ずかしさから苦笑してだからどうぞ話してと促せば、八代君はゆっくりと言葉を選ぶように口を開いた。
「…疑わんのか」
「? 何が?」
そう答えると、八代君の表情が少し険しくなったような気がした。
「あの二人の事じゃ。真っ先にワシを疑うのが当たり前じゃろうが」
「疑うって…何か理由があるんでしょ?」
「…何故そう思う」
「冷静になって考えてみたら、八代君が理由もなくそんな事するはずないかなって。二人にわざわざ会わせなくても、口頭で伝える事もできたはずなのに八代君はそれをしなかった。それって、きっと俺が納得しないって、この先にずっと気にするって思ったからだよね」
「…後になって言われても困るからの」
「うん、多分俺そうなってただろうから。だから、会わせてくれてありがとう」
「…おかしな人間じゃな」
ショックだったけどねと、苦笑しながらそう付け加えると
少しだけ、八代君の表情が安堵したような気がした。
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