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紅葉の季節 8にしおりをはさみました!
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紅葉の季節 8
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土曜日の朝、浅黄が仕事から家に戻ると、玄関で出かけようとしている綾倉と会った。
謙一郎と一緒だった。
「早いね」
普段なら、綾倉はまだ寝ている時間だ。
「予定よりは遅い。
本当はお前が帰ってくる前に出るつもりだったが、なかなか、こいつが起きないから」
「悪かったね」
謙一郎が笑いながら言った。
「どこ行くの?」
浅黄は謙一郎を無視して綾倉に聞いた。
本当は、なんで自分が帰る前に出るつもりだったのか聞きたかった。
「ちょっと遠出して、馬に乗ってくる」
「行ってらっしゃい」
そう言いながら、頭の中では先ほどの疑問の答えを考えていた。
この男と一緒に出掛けることを知られたくなかったのか。
それとも、この男に、自分と一緒に住んでいることを知られたくなかったのか。
謙一郎は浅黄に会釈すると、見送りに出ていた藍川に向かった。
「もしかしたら、今夜は泊まってくるかもしれない。
車を長時間運転した後、1日馬に乗ったら、もう二人とも若くないんでへとへとになりそうだからね。
そうじゃなくても、一杯飲みたい誘惑に負けるかもしれないし」
「それはありそうだな」
綾倉も同調した。
「そうなったら、連絡を入れる」
「わかりました。行ってらっしゃませ」
藍川が頭を下げ、二人は玄関を出て行った。
浅黄は少しの間、動けないでいたが、藍川に向かって尋ねた。
「藍川さんは、あの人を知ってるの?」
「はい。昔、10年ぐらい前ですか、時々、遊びに来られました」
「昨日は泊まったの?」
「はい。今朝は早く出られるからと、昨夜からいらっしゃいました」
さすがに同じ部屋で寝たのかとは聞けなかった。
二人が一緒だった痕跡を見つけてしまうことを恐れて、寝室を避けて自分の部屋で寝ることにした。
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