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友人関係を築く筈が、いつの間にかあいつの休みの度に、あちこち付き合わされている状態…。
あれ?これって。
「なんだかデートみたいですね!」
こいつの作戦なんだろか…。
隣で爽やかに笑うその顔が何だか腹立たしい。
「でもいいのか?人気モデルがそんな簡単な変装だけで外ふらふら歩いて」
「ああー…、これは変装じゃなくて普段の格好ですよ」
「あん?そう言えばお前テレビでは金髪だったり目、青かったような…」
「今気付きます?あれはテレビ用のエクステとカラコンです」
「あぁ…それで普段の」
「結構気付かれないものなんですよ、たまに高畑さんみたいに気付いちゃう人も居ますけど…」
話しながら目が違う方を向いている。
気になり遼介の視線の先を辿ると、こっちを見て何やら話しているカップルが居る。
逃げたほうがいいのか考えていると、女の方が遼介に駆け寄り、興奮を抑えきれない様子だった。
「坂城遼介さんですよね?モデルの!」
話してる側から早速バレてる。
どうするのかと遼介の顔を見ると、慌てる様子もなく、目を輝かせ、女と同じ調子で話し出す。
「うわ!嬉しい!よく間違えられるんですけど、そんなに似てます?」
「あれっ、本人じゃないんですか?」
「よく言われるんですけど人違いです、すみません」
「こっちこそすみません!でも凄い似てますよね!」
「ありがとうございます!今度彼女に自慢します!」
こんな調子で暫く喋っていたかと思うと、漸く女が彼氏と思われる男の元に走っていき、遼介は爽やかな笑い声を上げていた。
「いやー、ハラハラしますね」
「こっちがな、あれ本当にバレてないのか?」
「さあ?知りません」
「は!?」
「あんな感じで大体バレないんですけど…まあバレたらその時はその時ですよ」
「…そりゃそうだけど」
俺は失う物も無ければ、特に困る事はない。だがこいつは違う。
人の噂はなんとやらと言うが、人目につく仕事をしている限り、噂は付いて回る。
しまいにはその噂がその人の代名詞になってなかなか離れないだろう。
そう言うのは、自分が被害を受けてやっと辛さが分かるもんだ。俺がそうだからな。
隣からひしひしと伝わる笑顔に、胸の痛みを感じながら、自分の靴を眺めて気を逸らした。
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