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Ⅻにしおりをはさみました!
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Ⅻ
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約束の日、俺は友人に送られた住所と地図の場所へ行ってみた。
普通にデカい家で、やっぱアルファの家だなと心の中で呟く。全く知らないアルファの生活を見ると、改めてアルファ様の影響の大きさを思い知る。
「すみません、家庭教師として来たんですが」
「どうぞ、お入りください」
インターフォン越しに言われ、数秒でセキュリティのロックが外れる音がした。俺の背より大きすぎる門を開けて入ってみれば、俺の背が伸びた。
アルファは嫌いだ。アルファの横暴が許されて、オメガの行動は全てアルファに管理される。そんな世界が大嫌いだ。
でも、同時にアルファが怖い。オメガを引きつけ、離さなくしてしまう。世界がアルファを許してしまうのだから、オメガである俺なんか取るに足らない存在だ。
だから、怖い。
緊張しながら、秘書……だろうか。男性に案内されて応接室らしい場所へと入った。
織部のビデオか学校の応接室ぐらいしか見たことの無い俺にとって、緊張感を増す雰囲気だった。
「よく来てくれました、先生!」
アルファの美貌を持ったオッサンが俺にそう声をかけた。多分、この家の主だ。アルファの雰囲気がビシバシ伝わってくる。秘書はベータらしくそんな雰囲気を感じなかったのに。
「え、いや……あの……」
「学校では良い成績だとか!流石はオメガの方だ!!」
友人の言葉は正しかった。このオッサンはおかしい。
今の言葉は大抵アルファに使われる言葉だ。オメガに使われる言葉ではない。
「流石アルファ」はよく聞く。でも、オメガの俺がこんな言葉を言われたことはない。
「早速息子を見てもらいたいのですが、よろしいですか?」
「あ、ああ、はい」
展開に戸惑う俺を他所に、オッサンが息子さんを呼びに部屋を出た。秘書が残り、俺に茶を出す。ソファーに座るのも気が引けるのに、俺に茶を飲む勇気はなかった。
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