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叱咤する音にしおりをはさみました!
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The wing which died surely turns into love
叱咤する音
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結芽の服を破くわけには、いかない。
右の袖から腕を抜き、背のシャツを、たくし上げた。
「なっ? はぁ?」
なんで服、脱いでんだよっ! という男の心の声が、駄々漏れていた。
襲われるとでも思ったのだろう。
だけど、こいつは、俺の趣味じゃない。
大体、男なんて初めから眼中にない。
ただ、結芽が異例なだけだ。
……結芽、が。
ぶわっと背の翼が、抑えを失い広がる。
左は封印されたままで、広げることか出来ないが、右の翼は、簡単に表へと出る。
右半身を覆い隠せるほどの大きな翼。
こちらを向いていた男の瞳孔が、驚きに大きく見開かれた。
次の瞬間、男は、はっ…と、零すように笑い、ぶつけた後頭部を摩った。
「幻覚…、見え、…て、きた。……お前が、天使に…見える……」
ははっと抑揚のない音で笑った男は、瞳を閉じ、天を仰いだ。
「天使にお仕置きされるなんて、たまんないでしょ?」
右脚を持ち上げ、男の腹の上に下ろす。
ぐっと力をかける俺に、男は、吐き気を我慢するように、うっと頬を膨らませた。
このまま力を加え続ければ、男の内臓は破裂するだろう。
腹は、立っている。
が、殺すほどじゃない。
こんな男、殺す価値も、…ない。
「貴方はっ……!」
吐き捨てるような怒鳴り声が、背後から聞こえた。
聞き覚えのあるその音に、俺は、振り返る。
その瞳には、懐かしい姿が映る。
「月香……?」
そこに立っていたのは、俺の幼馴染、だった。
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