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いつかは振り向いてもらうからにしおりをはさみました!
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The wing which died surely turns into love
いつかは振り向いてもらうから
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気持ちを落ち着けるように、頭を振るった月香は、静かに声を放った。
「貴方まで、堕ちるコトは、……ない」
音里への未練を断ち切るように、月香は、きゅっと目を瞑る。
「堕ちたりしないよ。何も悪いコトなんて、してないし」
苛立たしげに、訝しげな視線を向けた月香。
「オレは、ただ、好きな人を待っているだけ。会いに来ただけ。一緒に居たいだけだよ……」
オレの言葉に、月香は、苦しげに顔を歪めた。
「月香だって、好きな人を護りたかっただけだろ……?」
グッと歪んだ月香の顔に、胸が痛む。
自分で言った言葉なのに、それが胸を抉ってく。
「私は、愛したりしない。貴方のコトを好きになど、ならない」
まるで、自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ月香に、胸が痛くなる。
「いいよ。好きにならなくて。嫌いにもならなくていい。でも、オレは、月香が好きだから」
嫌いになるコトは、意識しているからこそなんだ。
だから。
いつまでも、無関心で居てくれていい。
ただ、オレが、愛するから。
忘れられない父の姿と同じ、オレが、月香を愛するから。
少しでも、その心の痛みが和らげば、それでいいんだ。
「オレ、もう少しで監視者になれるんだ……」
それは、咎人を見守る権利。
咎人の意思など関係ない。
オレの言葉に、月香の瞳が、驚きに、大きく見開かれた。
「監視者になれたら、オレは、月香を囲うよ。言葉は悪くても、オレは、月香を放さない」
微笑むオレに、月香は、苦虫を噛み潰す。
「月香がオレに無関心でも、いつかは振り向いてもらうから」
ニッと笑って見せるオレに、月香は、飽きれとも諦めともつかない溜め息を漏らした。
監視者になれたのは、それから3年ほどの月日が経ってからだった。
オレは直ぐに、月香の身柄を貰い受けた。
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