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弟じゃなくて、俺が。
愛する人を守らず、むしろ手放すような言葉。
結局、俺はただの意気地無しだった。
イライラした。
張り付いた自分の笑顔。
両親の狂った思考。
弟が惚れているあの男。
それに気づかない弟。
……弟を愛している自分。
吐き気がした。
なにがどう狂って、俺は弟を愛してしまったんだろう。
俺は、未だに褒めてくる両親にそれとなく嘘をつき、自分の部屋に戻る。
自分の部屋の隣には、弟の部屋がある。
弟が隣の部屋にいるというだけで、心臓の音がうるさく鳴り響く。
これじゃあ勉強なんて、出来るわけなかった。
両親が寝静まった頃、今日もまた、深夜に弟を外へ出させる。
着替えている弟の青白い身体を見て、興奮している自分がいる。
弟は小さな身体を震わせながら、外に出る準備をする。
その準備の中に、携帯はない。
両親には弟が必要ないからだ。携帯を持たせて貰えていない。
弟は、準備が終わると、俺に頭を下げて俺の側を横切る。
ふわりと香るシャンプーの香りに、俺はドキリとする。
弟は、夜中、俺達が寝静まった頃にお風呂に入っている。
まあ、いつも俺は勉強するために寝ていないけれど。
風呂に上がってすぐ、俺は弟に出ていけと言う。
……弟がいると思えば、勉強なんて集中出来なかった。
全ての神経が隣の部屋に行ってしまう。
俺の全ては弟に囚われている。
そんな異常な俺が気持ち悪かった。
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