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焦燥③にしおりをはさみました!
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焦燥③
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「え…っと、なに?もう一回言ってくれる?」
「恋愛の好きという気持ちが確信した時って、どういう時なんですか」
あれこれ悩み数日経った放課後、
文化祭準備が特別遅れている俺のクラスを手伝うと、白崎先輩が声を掛けてくれた。
先ほどまで他愛もない会話をしながら、資料を作成していた、のだが。
俺の突拍子もない質問に、彼は手を止めて苦笑した。
「うーん、そうだな…
相手のことを考えたり、悩んだり、一喜一憂する時が一瞬でもあれば、それは好きっていう気持ちが確信した時…なのかな」
「なるほど…」
「…月島君、女の子と付き合ったことあるんじゃないの?」
「ありますよ、あるけど…その時は『好き』って思ったことないっす」
「あはは、それは罪深いね、
…その、キスマークをつけられた相手のことで悩んでいるの?」
その質問が、図星であることがばれないように、笑いながら否定をした。
「いやいや、この前見たドラマの話で…」
「宮内先生、かな?」
一定の律動で鳴っていた心臓が、途端に大きく跳ねた。
「違…う」
「違う?
この前宮内先生から直接、君とまるで付き合っているかのような事をほのめかされたよ。」
―は?何してんだよあの馬鹿!
―ばれたらどうするつもりなんだ?
「宮内先生のことで、そんなに悩んでいるんだ?
しかも、その悩み様、本気で好きになっちゃったみたいだけど……
…でも彼のことだ、遊ばれているだけじゃないの?」
「…」
「彼、見た目チャラいし、ちゃらんぽらんそうだし。
そんな奴より………僕の方が…………」
「え?」
「そんな奴より、僕にしておきなよ。」
驚いて正面にいる彼を見た瞬間、視点がぐらりと揺れ、腰と頭を強く打ち付ける痛みを感じた。
「……ちょっ、離せ!」
机の上に押し倒され、手首をがっちりと掴まれて身動きが取れない。
俺を悔しそうに見つめる彼の表情は、おふざけでも冗談でもなく、ただ恐怖を感じた。
「僕はずっと前から君のことを考えたり、君のことで悩んだり、一喜一憂していたんだよ」
ふと、先ほど白崎先輩が言っていた言葉が脳裏に浮かんだ。
ずっと前から…?
「は、じゃあ音楽室で話しかけてきたのも、今日手伝ってくれたのも、そういう事かよ…」
「そうだよ、すべては君と話すため、仲良くなるための口実だよ…
なのに…なのにどうしてあんな奴…」
彼がぐっと唇を噛み締めたのが見えた後、
強くネクタイを引っ張られ、再び視界が大きく揺れた。
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