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中傷にしおりをはさみました!
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中傷
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ツイッターのフォロワーが増えるのと同時に、写真へのコメント数が激増した。
嬉しい言葉たち。
でも、そんな中にごく一部なのだが検討違いな中傷コメントも見られた。
その議題の中心になっていたのは、例のボーイズ写真集。
男同士の物について、賛否両論があるようなのだ。
今までは身近に受け入れてくれる人が多かったから、目を伏せて来たが…。
実際は“気持ち悪い”と思う人がいるのも事実。
自室に籠って、ベットの下段に二人で座り、レンのケータイを除く。
「これは酷いな」
「僕もうメンタルがもたない…」
ボーイズラブへの当てつけ。
それは目も当てられない言葉だった。
しかも、そのほとんどが写真と関係ない誹謗や根拠のない情報。
「僕らみたいなポッと出が嫉妬とかただの吐け口になってるのかもね」
現実をじっと受け止めるレン。
僕は気が気じゃなかった。
長売れるってこういうこと。
たかがネット。顔は見えない。
写真部として中傷を言われたのはこれが初めてじゃないけれど。
でも、ここまで傷つくものなのだなと改めて実感した。
「今までは知り合いや身内同士でやってきた所があったからね」
レンがポツリと呟く。
妥当なことを言っているのだけれど。
ほんの1ヶ月。
四月の頭に部長が言った一言が、ここまで肥大するなんて。
だけど。
僕はそれ以上に心にわだかまりがあった。
『レンにこの気持ちが知られたら、拒絶されてしまうのではないか』と。
レンは写真を撮った本人だけれど。
それは写真部のためであって、彼自身はこの件に一切口を出さなかった。
肯定も、否定も。
_____男が好きな僕は、気持ち悪い?
レンを横目で見る。
長いまつ毛、伸びた綺麗な首。
落ち着いて、なにかを見据えた目。
彼はいつも通り。
眠たくなって来たのか、欠伸をした。
最悪の状況を考える。
この日常が崩れてしまったら……。
手が震える。
僕は世界で一番好きになってはいけない人を、好きになってしまった。
知らないうちに、僕は爪を噛んでいた。
レンが、そっと僕の指を握って言葉を選ぶ。
「その癖、辞めたんじゃなかったの?」
少し意地悪な言い方。
「ごめん…」
僕はとっさに謝った。
でも心の中では、それどころじゃなかった。
「大丈夫」と僕をなだめるレン。
そして優しく、背中をさすってくれる。
僕の気も知らないで。
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