アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
ーそのイチーにしおりをはさみました!
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
- しおりがはさまれています
-
ーそのイチー
-
人間は、みんな平等だと誰が言ったんだっけ?
幸せと不幸せはみんなが半分ずつ持っているって誰が言ったんだっけ?
人に優しくすればいつか自分も優しくされるって誰が言ったんだっけ?
苦しみの後に幸せが来るって誰が言ったんだっけ?
でも、現実は違っていたみたい
人間は皆平等なんかじゃない
裕福な家庭に生まれ落ちる人間とそうじゃない人間
既にそこから人生は始まっているんだ
神様とか信じていないけど、多分大金持ち、金持ち、普通、貧乏、それ以下みたいなサイコロを振ってるのかなってね
そう感じたのは小学生の頃だったかな
そもそも、裕福な家庭は一応親がいるし親がいなくても金があれば生きていける
大人なんて金さえあれば優しくしてくれる生き物だしね
じゃ、逆に裕福ではない家に生まれた子供はどうだと思う?
ほら、よく言うだろ?金の切れ目が縁の切れ目ってね
だから両親は離婚したり、再婚して本当の他人と暮らさなければいけなかったりね
たかが紙切れ・・・されど紙切れってやつ
残念ながら俺は後者の人間だったらしい
前世とか全く信用していないから昔の行いが悪かったとも思えない
でも、この世に生まれて来た
握りしめた小さな手の平には幸せが入っていると信じてね
それも残念ながら、俺が握りしめていたのは糸くずやゴミだったらしい
小さな頃からずっと孤独だった
逆に孤独とは何かすらわからなくなっていた
一人でいるのが当たり前だと思い込んでいたから
友達が笑っていても、その笑顔すら滑稽に見えた
誕生日やクリスマスの話を聞くのが大嫌いだった
そんなある日のクリスマス
初めて部屋にツリーとケーキがあった
すごく嬉しくて、泣きそうだった
でもね・・・・プレゼントはおもちゃではなく、父親と言う生き物だった
母親よりも遥かに若い男
ケーキやツリーはそいつの為の物だった
ホント・・・呆れるしかない
ケーキを食べさせているのは俺ではなく男へだった
目の前でくだらない芝居じみた幸せをぼんやり見るしかなかった
全く働かない男と夜の仕事に変えて厚化粧で出て行く母親
俺はいつも部屋の隅でそいつと目が合わないように膝を抱えてうつむいていた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 15